あしなが奨学資金ピンチ 申請急増で不足 青森県半数不採用/学生ら支援訴え

経済的な事情で進学を諦める子どもがいる現状を訴え、募金への協力を呼びかける生徒や学生たち=28日、青森市のJR青森駅東口

 親を亡くした遺児らを支援する「あしなが育英会」(東京)の奨学金に対する全国の申請者が本年度、過去最多となった一方で、申請者の半数以上が不採用となっている。青森県でも高校進学者28人が申請したが、半数超の15人が不採用となった。物価高騰による生活困窮などで申請が急増し、奨学資金が追いついていない状況だ。学生団体「あしなが学生募金」は28日、青森市のJR青森駅前で募金活動を行い、支援を訴えた。

 あしなが育英会によると、4月に高校生になった生徒が中学3年生時に申し込む「予約採用」枠の申請者数は全国1800人と過去最多になったが、奨学資金が追いつかず、約55%に当たる985人が不採用となった。あしなが学生募金事務局によると、青森県の同枠申請者は28人(前年比10人増)で2019年以降最多。増加の背景には、生活困窮のほか、昨年度から返済義務がない全額給付型に制度が変更になり、これまで卒業後の返還に不安を感じて借り控えをしていた層が申請したこともあるとみられるという。

 28日昼、市民や観光客、帰省客などでにぎわったJR青森駅東口前では募金箱を持った大学生や高校生のボランティア約15人が「申請者の約半数が不採用となっている。一人でも多くの子どもが夢を諦めず、進学できるよう、ご協力お願いします」と呼びかけた。

 学生募金事務局青森ブロックマネージャーの牧野智優さん(弘前大学1年)は「奨学金をより多くの学生に行き渡らせるには、まだまだ多くの支援が必要。経済的理由により進学の夢を諦めてしまう学生を一人でも少なくするため、声を上げ続けたい」と話した。

 参加者の一人で奨学生の男子学生(青森公立大3年、山形県出身)は母子家庭で育った。「奨学金がなかったら大学に通えていない。将来は公務員を目指している。小さい頃、市役所の職員に話を聞いてもらったこともあり、自分もそうなりたい」と語った。

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