鹿児島県さつま町は、水俣病研究の第一人者で町出身の医師原田正純さん(享年77)の生涯をたどる漫画を作った。水俣病の原因究明や被害者救済に尽力した足跡に触れ、環境や郷土の大切さも説いた半生を描く。町が23日に発表した。
原田さんは1934年生まれ。熊本居住時に空襲で母を亡くし、父の故郷の同町に移住。旧平川小学校、宮之城中を卒業。後に熊本大医学部に進み、61年から水俣病調査を始めた。
漫画は原田さんの地縁者にも聞き取りし、史実に基づき製作。医師として水俣病に向き合う姿勢や苦悩を描き、晩年には自然にあふれた地方の魅了を伝えようと、旧平川小で講演を計画していたエピソードを盛り込む。原田さんゆかりの写真や年表も紹介する。
B6判107ページの非売品で、B&G財団の助成金を活用した。町内全小中学生に配る。町図書室などで閲覧でき、町ホームページでも公開予定。町教委社会教育課の佐藤真人主任は「困難に直面した時にどう向き合うかなど、考えるきっかけにしてほしい」と話した。