キャンプ歴30年ライターがハマる「車中泊」! 快適すぎる「クルマ旅」専用マストギア「室内レポ」

車内からの風景は占有感を感じる(撮影:吉田哲大)

キャンプ歴30年の筆者だが、昔から車中泊にも興味はあった。初めての車中泊はキャンプ帰りの仮眠。SAでただ椅子を倒し、シートの凹凸にはタオル等を入れ、適度な平面を作った。しかし、あまりよく眠れず、楽しいとは思えなかった。

帰宅後、凸凹解消のためシートに板を敷き、これで無理なら車中泊はやめようと考えていた。するとどうだ、寝転んでみると非常に寝やすく、自宅を第1の居場所、職場や学校を第2の居場所とすると、車内空間がテント同様、第3の居場所のように思えてきた。

元々ものづくりが好きなため、DIYをするのに丁度いいおもちゃを見つけてしまった気分だったのも覚えている。

やがてDIYで車内を車中泊仕様に。それ以降、キャンプと車中泊の両刀使いで楽しむスタイルができ上がった。本記事では、どのように筆者がキャンプのように車中泊を楽しんでいるのかを紹介していきたいと思う。

■とにもかくにも、車中泊最大のメリットは設営&撤収の手間がないこと

車中泊のきっかけは、キャンプでの土砂降りの雨。その日はキャンプ場に着くと、地面はぬかるみ、とてもテントを張る気にもなれない状態だった。キャンセルがかなり出たのだろう、利用者は筆者含め2~3組だけ。

車内でのコーヒーは、一際香りが引き立つ

既にある程度、DIYで車を車中泊仕様にしていたため、筆者は躊躇なく車中泊に切り替えた。ワンボックス車のバックドアだけオープンにして、テント張りと同等の自然の空気を取り込みながら、コーヒーを飲んで森林の緑と雨の様子を見つめていた。

テントは張らず、すぐに飲食を楽しめる。キャンプではなかなか味わえない時間を有効に使える楽しさを実感した瞬間だった。同時に、テントを張らないことの楽さも車中泊でなければ経験できない。愛車が1BOXということもあり、バックドアを開けても横風さえなければ、雨は吹き込んでこない。

時間を有効活用できる車中泊の魅力にすっかりハマってしまった。

それからというもの、車中泊をする際は、風や風景を感じるためにバックドアを開けるのがルーティンになっている。

■車中泊でも車内はキャンプ用品

筆者の愛車ステップワゴンには、キャンプの時に物置きとして活用している台座がある。かつて車内の座面を作り直した一部であるが、脚を付けたら丁度いい高さであったため、活用している。

車中泊でのテーブルを考えていた時、この台座を車内に置いてみた。すると、狭小な車内でも、サイズ感がジャストフィット。実際に胡座で座ってみると、テーブルとして実に丁度いい。キャンプでも車中泊でも使える逸品となっている。

■キャンプと変わらぬ装備がリフレッシュのもと

ここ10年、筆者はソロキャンプを楽しんでいるが、車中泊もあくまでキャンプスタイル。就寝はテントマットを敷き、寝袋で寝る。調理で使うコッヘル類やシェラカップなども、いつものキャンプスタイルと何ら変わらない。

日常では誰かしらと接し、雑踏の中で過ごしている。それが続くと非日常を求めてリフレッシュできる場所に行きたくなる。筆者の場合、それがソロキャンプなのだ。

■読書・映画鑑賞は車中泊に向いている

キャンプでは、ラジオを流しながら焚き火をしたり、料理をしながら非日常を味わっている。車中泊では、焚き火の代わりに読書を楽しんでいる。キャンプの夜は本を読むには暗すぎるが、車中泊ではそれが可能になる。

車中泊で映画鑑賞をするのだが、四方を囲まれた車内で見る映画は個室映画館のようだ。

車中泊の夜の過ごし方として、読書や映画鑑賞の両方が楽しめるのはキャンプでは味わえない魅力かもしれない。

■キャンプより移動しやすいのが車中泊の魅力

地場の道の駅は掘り出し物の山

キャンプでも近くに道の駅があれば出向き、夕飯の野菜などを購入するのだが、車中泊の場合移動がしやすい。

食事を作らないスタイルも車中泊ではあり

テントの設営や寝床や荷物のセッティング時間が必要ない分、行きたい場所へすぐに行けるのが魅力だ。温泉に行きたければ即動ける。時間を気にせず、そこでしか食せない料理も堪能できる。

車中泊は時間を気にせず、行きたい場所で楽しめる

時間を有効的に使えるのは車中泊ならでは。キャンプの場合は夕暮れ時にテントサイトにいなければ焦ってしまう。夕飯の準備や、夜に備えた灯りの準備をしなくてはならないからだ。焚き火をするのであれば、薪割りも含め明るいうちに準備が必要だ。

寝るための手段としてではなく、アクティビティとして楽しむ車中泊はキャンプと違ったおもしろさが満載である。

■これは買って正解! 車中飯の最強ギア

車内で調理するためのIHヒーターや車中泊用の電気ポットなどは購入していない。キャンプでは、SOTOのレギュレーターシングルバーナーを使用しているが、これを車内で使用するのは危険だ。

それでも車内で火を扱うのは、危険を伴うため少しためらう。そんな中、ホームセンターで出会ったのがThankoの「2段式超高速弁当箱炊飯器」である。唯一、車中泊のために購入したギアであるが、電気式ではあるもののあまりにも便利すぎてキャンプでも使用することが多々ある。

この炊飯器は弁当箱のような形状をしており、ご飯とおかずが同時に調理できる優れもので、TV番組『王様のブランチ』でも紹介されたらしく、Thankoの中でも人気商品となっている。

下段でお米を炊き、ご飯を炊く際の高温水蒸気を利用して、上段トレイのおかずを加熱する。レトルトカレーや惣菜などの温め調理、シュウマイなどの蒸し料理に大変便利だ。

下段のお米はメスティン同様1合まで炊け、お茶碗1杯分の0.5合も可能だ。おいしく炊ける秘訣は、高火力のかこみ炊き。お米をムラなく炊き上げるので、ふっくらと仕上がる。

炊飯釜の素材はフッ素加工されているため、食後も拭き取ればきれいになる。上段のおかずトレイもアルミ製で、クッキングシートを使用し加熱すれば汚れもつきにくく、後片付けが楽になる。

キャンプでスーパーで買い物する際、色々目移りしてついつい買い過ぎてしまうことがある。このギアを使用することで、今日はカレーなどと決めて食材を購入できるので、買い過ぎずに食品ロスの軽減に繋がる。

■キャンプや車中泊で、第3の居場所を楽しもう!

車内で風景を見ながらただただのんびりする

今回、キャンパーである筆者が車中泊で何を使い、どう過ごしているかを紹介した。結局、居住空間が車内に変わっただけで、通常のキャンプと特に変わりはない。

長年キャンプをしてきて、車中泊だと焚き火もできず楽しめないと思っていた。テントの中は秘密基地で、居るだけで非日常感を味わえる。しかし、車中泊も一緒。リフレッシュできる空間があれば、同じく非日常が楽しめるのだ。

車中泊の魅力は、すぐに移動できる点。車内を自分好みに仕上げ、海の見える場所、緑と風が心地いい場所を探し、車中泊を楽しんでみてはいかがだろうか。

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