『アクマゲーム』第4話 ゆるい審判とイカサマの横行が興を削ぐ

間宮祥太朗が迫真の顔面で悪魔のゲームに挑む『ACMA:GAME アクマゲーム』28日放送分は第4話。子ども向けにマイルドなデスゲームを見せるドラマかと思いきや、前回の第3話では命が賭けられることもなく、単にマイルドなゲーム大会となっております。

もう先に言ってしまえば回を追うごとに子ども騙しになっていくわけですが、それならそれでいいんです。こっちも子どもの気分で楽しもうとしますので、しっかり騙してほしいのよ。

振り返ります。

■ゲームがイカサマやねん

間宮演じる主人公・照朝は宿敵だった天才ギャンブラー・潜夜(竜星涼)を仲間に引き入れ、「悪魔の鍵」の行方をコントロールする謎の組織「グングニル」と戦っていくことになりました。

今回は照朝と潜夜、それに照朝のお友だち2人でたむろしていたところに、そのグングニルから男の人がやってきて、おもむろに「アクマゲームがしたい」と誘うところからスタート。照朝がその申し出を受け入れると、例によって悪魔が現れます。

前回までは牛のお化けでしたが、今回はフクロウとニワトリの中間くらいの鳥のお化け。コルジァという名前だそうで、CV坂本真綾です。ちなみに牛は諏訪部順一でした。豪華だネ。

今回のゲームは「百金争奪」。5つのコマを使ったバトルゲームでした。コマとなる人形には5つの強さレベルが設定されていて、互いにコマを選んで強かった方が勝ち。ただし、強さ「1」のコマは「2」「3」「4」には負けるけど「5」だけには勝てる。コマは一度使ったらもう使えない。それと、スペシャルアイテムとして強さを「+1」できるダイヤが配られている。場には100枚の金貨があって、それぞれのバトルの前に賭けられる金貨の数がフクロウから指定される。勝った方が金貨を総取りする。

非常に単純で、知恵比べの要素の強いバトルです。『カイジ』シリーズの福本伸行センセならこのバトルだけで5巻は描けそう。

で、この『アクマゲーム』という作品のバトルの特徴というか、前回あたりから露見してきている悪い部分として、平気でイカサマをやるんですね。

前回はカードゲームでしたが、マジックでマーキングしたりカードの模様を塗りつぶして見えなくしたり、「それを許したらゲームが成立しませんよ」というイカサマが平気で横行している。

絶対的に公平かつ残酷な審判を下すはずの立会人である「悪魔」も、そうしたイカサマにはすごく寛容なんです。

今回も、コマをゲームの参加者ではない友だちにコソコソと手渡して、影でそのコマの一部を壊して別のコマに装うというクソ卑怯な手を使って、照朝は勝利を収めました。

■なんだかモラルの崩壊を感じる

こういうジャンルの作品では、主人公が知恵を絞って「ルールの裏をかく」ことが醍醐味となります。

『カイジ』の「沼」でいうところの「ビルそのものを傾けちゃう」みたいな、大胆な謀略。ちゃんと考えたらいろいろおかしいかもしれないけど、それに説得力を持たせるだけの勢いのある演出。そういうものを期待して見ているわけですが、カードにマジックペンで落書きしたりコマを壊したりって、ドラマを作る側のやってることが「ルールの裏をかく」ではなく「ルールの穴を後から作る」ということなんですよね。サッカーに例えたら、シュートを打った後にゴールを動かしてる。

物語を作る上で、最低限自分たちが提示した条件くらいは守るのが作り手としてのモラルだと思うんですが、そういうモラル的な部分が崩壊している作品だと感じるんです。あのー、最近ちょっとバズった霜降り明星・せいやの「性格最悪な武田鉄矢」が麻雀でイカサマしまくるネタがあるんですが、あの感じ。せいやはあえて悪しざまにすることで笑いにしてますが、あれをテレビドラマで堂々とやられてる感じなんです。

ゲームの勝敗に、照朝は「グングニルについて知ってることを全部話せ」という要求を賭けましたが、いざゲームに勝ってみたら、負けたほうの人が「き、記憶が……!」みたいになってるのも、単なるイカサマでしかない。視聴者に提示された約束事が次々に反故されていくので、マジメに見てマジメに楽しもうという気が削がれていく。

Amazon Primeと協業で世界進出なんて言ってたのでちょっとは期待してましたが、知恵比べのドラマを作って出来がよくないということは「ニッポン人は知恵が足らん」という評価を受けることになるわけです。なんとかしてくれ。

(文=どらまっ子AKIちゃん)

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