「ベースのところですね」堀米勇輝が2試合ぶりの出場で実感したチームの成長「みんながまとまって戦えている」【鳥栖】

[J1第10節]柏 1-1 鳥栖/4月28日/三協フロンテア柏スタジアム

「選手として、良いサッカーを表現したい。面白い内容を見せるためではなく、勝つために、良いサッカーを表現したいです」

攻撃のタクトを振るう21番が、クールな口ぶりで想いを明かした。

4月28日、サガン鳥栖はJ1第10節で柏レイソルと敵地で対戦し、1-1で引き分けた。

この試合に人一倍、熱い思いを持って臨んだ選手がいた。MF堀米勇輝だ。

堀米は4-2で勝利した前節の鹿島アントラーズ戦を体調不良で欠場。ホームでサポーターとともに歓喜した一戦を、スタンドにすら入れず、自宅から観戦した。開幕からの8試合すべてに先発していたチームの中軸として、今季2勝目に関われずに感じたもどかしさを、柏戦でぶつけるつもりだった。

「1試合、外から見ていて感じるものもありました。出られない悔しさもそうですし、みんなの戦う姿勢を見て、自分もやらなければいけないと勇気づけられる部分もありました」

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堀米は、柏戦で75分から途中出場。主戦場の4-2-3-1のトップ下で何度かチャンスメイクを試みたが、得点を生むには至らなかった。チームとしても、柏のシュート15本に対して、鳥栖はわずか3本と苦しんだ一戦だった。

ただ、堀米は2試合ぶりの出場で「チームは確実に成長している」と感じたという。

「ベースのところですね。ゴールを守る部分。全員が足を止めず、どっちのボールになるか分からないようなところを、意地でも自分たちのものにするという気持ちが強まってきていると思います。そういうことができないと、試合に出られない集団になってきている」

チームは現在18位と降格圏に低迷。勝利への飢えもあるのだろう。堀米は徐々に、粘り強く戦える集団になってきていると感じているようだ。

「みんながまとまって戦えているからこそ、今日の結果に満足できている人はいないと思う。僕らはもっと良いプレーができるはず。良くなってきているベースの部分を忘れず、より良いサッカーを表現したいです」

堀米が感じたチームの成長。選手個々に根付きつつある泥臭さに加えて、従来のハイテンポなビルドアップを取り戻せば、下位脱出も見えてくるかもしれない。

取材・文●岩澤凪冴(サッカーダイジェスト編集部)

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