今季最高70%の決定率でMVP! 石川祐希、クラブ初のCL出場権獲得に貢献! 現地識者は「私ならユウキの銅像を建てる」と大絶賛

現地時間4月27日、バレーボールのイタリアリーグ/スーペルレーガで2023-24シーズン・プレーオフ3位決定戦の第4戦が行なわれた。男子日本代表の石川祐希が所属するレギュラーシーズン6位アリアンツ・ミラノは、同首位イタス・トレンティーノとホームで対戦。セットカウント3-1(25-21、18-25、25-20、25-21)でミラノが3勝目を飾り、石川の自身キャリアとクラブの最高成績となるリーグ3位で今シーズンを終えた。

ミラノは、アウェーで黒星スタートの後に本拠地でフルセットの激闘を制してタイへ持ち込み、勢いのまま敵地での第3戦に連勝。2勝1敗で3位に王手をかけてここで決着をつけたい今季最後のホーム戦に臨んだ。

先発は、アウトサイドヒッター(OH)が不動のエース石川と、その対角にキューバ代表オスニエル・メルガレホ、ミドルブロッカー(MB)にアルゼンチン代表アグスティン・ロセルとイタリア代表マルコ・ヴィテッリ、オポジット(OP)のベルギー代表フェレ・レゲルスと司令塔のイタリア代表パオロ・ポッロを起用。左ふくらはぎ故障のOHブルガリア代表マテイ・カジースキは、リリーフサーバーで途中出場した。

トレンティーノは、正セッターのイタリア代表リカルド・ズベルトリが左手小指骨折から完全復帰し、OHが同胞アレッサンドロ・ミキエレットとジュリオ・マガリーニ、MBはスロベニア代表ヤン・コサメルニクとセルビア代表マルコ・ポドラシュチャニン、OPカミル・リヒリツキ(イタリア)を起用し、第2戦から同じ布陣。腹直筋負傷のOHイタリア代表ダニエレ・ラヴィアが4試合ぶりにベンチ入りした。

ミラノは、第1セット開始直後にブレークを成功させると、石川のアタック3打などでリードを広げる。以降も主導権を握ったまま試合を先行。しかし、第2セットは相手のサーブが走り、序盤から苦戦を強いられる。失点が重なるなか、中盤に石川がエースを決めるもビハインドは4点。終盤、ポッロのサーブで2点を返すに留まりセットを譲った。

だが、ここから圧巻の“イシカワ劇場”が幕を開ける。
まずは、1点のビハインドで迎えた第3セット中盤に守備で魅せる。ロングラリーの最中、審判席の後方へ逸れた味方のリバウンドを右手の甲で自陣へ戻すミラクルプレーで同点弾を演出。これでミラノに流れを呼び込み、さらにブロックアウトを奪って逆転に成功する。石川はそこからギアを上げると、相手ブロック上からのライト攻撃、エースとバックローからの強打で3連続得点。さらに終盤、今季リーグ通算500得点目でリードを4点に広げた後、迫力満点のバックアタック2連発で勝利まであと1セットへ迫った。
第4セット、序盤を優勢に進めたミラノは、中盤の被ブロック2本などで相手に巻き返しを許して15-15。だが、昨季王者トレンティーノの前に無双状態の石川が立ちはだかる。レフト攻撃2発で再び前へ出ると、ブロックの間を抜く一打で相手の追い上げを一掃する。そして、バックアタックでマッチポイントを奪い、味方の好守でアタックライン近くに上がった2段トスを、助走2歩で相手コートのコーナーへ沈めて勝利を奪取。自身とミラノにとって最高成績となるリーグ3位の座をつかみ取り、クラブに欧州大会最上位チャンピオンズリーグ(CL)へ初の出場権をもたらした。

石川が叩き出した28得点(アタック26、エース2)とアタック決定率70%は、どちらも今季、自己最高の数字。同時に、この試合19得点で後続につけたイタリア代表の主砲ミキエレット(トレンティーノ)を大差で退け、最多得点でMVP(マン・オブ・ザ・マッチ)に輝いた。

開幕から正セッター不在が続き、シーズン序盤に一時、最下位に甘んじたミラノ。国際バレーボール連盟の配信サービス『Volleyball TV』で解説を務めた元イタリア代表ジョルジョ・ゴルドーニ氏は、「この試合だけではなく、ユウキは今季ミラノのMVP」と述べて、昨季4位を越えるトップ3入りとCL初出場へ導いた立役者と称賛した。加入から4シーズンで強豪と肩を並べるまでにチームを引き上げ、クラブ史に新たなページを刻み続けてきた背番号14を「ミラノのシンボル」と呼び、「私が会長なら、ユウキの銅像を建てる」とその功績を讃えた。

確実に歩を進めてイタリアでの9シーズン目を戦い終えた石川。それでも、3位決定の瞬間の表情は、喜びよりも逃した決勝進出への悔しさが滲んでいたように見えた。目指すはリーグタイトル獲得。それを叶える時のため、笑顔は封印したのかもしれない。

この後、舞台はパリ五輪を控える代表シーズンへ。メダリストの称号を手にして帰還するであろう来季は、さらに大暴れしてくれることだろう。

構成●THE DIGEST編集部

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