指示役、数日前から沖縄に潜伏か 栃木・夫婦遺体事件が急展開 那覇空港で捜査員が身柄確保

那覇空港(資料写真)

 なぜ沖縄に。事件の裏で一体、何が起きていたのか-。栃木県那須町で男女2人の焼死体が発見され、警視庁が死体損壊容疑で建設業の男(25)を逮捕した事件が、沖縄で急展開した。事件に関わった疑いがあるとして、警視庁が28日、指示役とみられる男(28)の身柄を沖縄県の那覇空港で確保していたことが関係者への取材でわかった。空港内での身柄確保の様子を目撃した観光客の男性が29日までに、琉球新報の取材に応じた。当時、捜査員とみられる複数の関係者に話し掛けられた男は、騒がず落ち着いた様子だったという。沖縄では、過去にも事件の関係者や指名手配犯が、逃亡先としたり、県内で身柄を確保される事例が相次いでいる。

 目撃した男性や関係者の話を総合すると、男は28日午後、那覇空港を訪れた。県外に向かう航空機に搭乗しようとしていた。

 男は空港内を歩き回り、空港1階の到着ロビー周辺に一人でいたところで警戒していた警視庁の捜査員に身柄を確保されたとみられる。

 1階到着ロビーの外側には、タクシーなどの車両が乗り入れる車寄せがあり、男はその周辺で声を掛けられた模様だ。

 数日前から県内に潜伏していたとみられ、当時、慌てた様子はみられなかった。警視庁は、複数の防犯カメラの映像を頼りに足取りを追う「リレー捜査」で男が沖縄にいるのを突き止めたという。

 今回の事件に限らず、事件に関与した人物が、捜査当局の手から逃れるために沖縄に逃亡したり、県内で逮捕されたりするケースが複数確認されている。

 2021年8月には、東京都港区の東京メトロ白金高輪駅で男性が硫酸をかけられて負傷した事件で、傷害容疑で逮捕された男子大学生の容疑者(25)=当時=が、本島中部の公園で身柄を確保された。容疑者と男性は琉球大学のサークル仲間で、男性に一方的に恨みを募らせた末に犯行に及んだことが事件の公判などで明らかになっている。

 07年3月に千葉県市川市で起きた英国人女性の殺人・死体遺棄事件では、現場から逃走し、09年11月に逮捕されるまで警察の目から逃れ続けた、容疑者の男(28)=当時=が逮捕されるまでに度々、沖縄に潜伏していたことが判明している。男は、逃亡生活の間、久米島町のオーハ島に滞在しており、身柄を確保されたのは、沖縄行きのフェリーに乗り込むために大阪南港のフェリー乗り場にいるところだったという。

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