「もうこれは作画資料」人気漫画家、自宅から発見された「古銭」が話題 一体いくらの価値になる?

■古いコインや紙幣の価値とは?

漫画家の一本木蛮が4月22日にXを更新。「台所掃除してたらお札出てきた」と、昔懐かしい紙幣の画像をUPし、「もうこれは作画資料」と語った。確かに、歴史漫画や昭和の時代の漫画を描く際には、最高の資料になりそうだ。これにはファンも反応し、現在1万6000件を超える“いいね”がついている。

筆者はコインや紙幣のコレクターなので、コレクター目線で分析してみよう。画像にあったお札を金額の大きい順に整理すると、聖徳太子の5000円札、伊藤博文の1000円札、岩倉具視の500円札(新・旧の2種類があるが両方含まれている)、板垣退助の100円札、国会議事堂の10円札、二宮尊徳の1円札、武内宿禰の1円札だ。

このなかでもっとも古い時代に発行されたのが武内1円札だ。なんと1889年、明治時代に発行開始された紙幣であり、歴史の重みを感じる。厳密にいえば、画像の紙幣は番号がアラビア数字になったものなので、1916年以降の発行分ということができる(それ以前のものは番号が漢数字なのだ)。その後、1942年まで印刷されていたようなので、大正から昭和初期にかけて発行された紙幣といえるだろう。

この画像に写っている紙幣だが、すべて、現在でも問題なく使用することができる。セルフレジや券売機などは通らないだろうし、コンビニやスーパーで出したところで偽札と勘違いされる可能性はあるので、使うには勇気が要ると思うが、とにかく使うことはできるのだ。聖徳太子の5000円札などは風格があり、5000円というよりは5万円くらいの価値がありそうに見える。

戦前に発行された紙幣は、その大半が現在は使用できない。1946年に行われた新円切替の際に、従来の紙幣を使えなくする措置が取られたためだ。しかし、1円札は除外されたため現在も問題なく使えるのだ。ちなみに、現在も通用する最古の紙幣は1885年に発行開始された大黒天が描かれた1円札である。

■プレミアの紙幣はどんなもの?

プレミアについていえば、残念ながらこの画像の紙幣を古銭商に持参しても、買い取りを断られるだろう。いずれも現存数が多いので、プレミアムはついていない。強いて言えば、ナンバーが777777などの珍番であったり、裁断ミスなどのエラー紙幣であれば価値がつく可能性があるが、こうした紙幣は滅多に見つかるものではないのだ。

いずれにせよ、こうした紙幣が見つかった場合は、思い出の一部として保存しておくのがいいだろう。それに、万が一の際は使うことができるのだから、貯金代わりになる。漫画家であれば、一本木蛮が指摘するように作画資料に最適だ。この記事を読んだ方も、ゴールデンウィークに実家に帰省した際は、こうした紙幣を探してみてはいかがだろうか。

(文=山内貴範)

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