クマ出没、AIで検知へ 瞬時に情報共有、政府が実証事業

秋田県鹿角市内で自動撮影カメラに写ったクマ=2023年8月(同県自然保護課提供)

 政府は、野生のクマによる人身被害の増加に対処するため、人工知能(AI)を使った検知システムの実証事業を近く開始する。監視カメラの映像からクマ出没をAIで瞬時に判断し、情報を関係機関と共有する。システムの有効性を確認できれば、人家周辺でクマ出没が多い都道府県に導入したい考えだ。政府関係者が29日明らかにした。

 政府は2月にクマ被害への対策方針を策定し(1)人の生活圏への侵入防止(2)発見時の緊急対応(3)住民への情報提供―を柱に据えた。特に、市街地に現れた際の早期覚知や、警察、自治体、地元猟友会などとの情報共有が課題となっている。

 そこで浮上したのが、国や自治体、民間の監視カメラと、画像から人や物を認識するAIをつないだ検知システムの構築だ。クマの発見を助け、速やかな警戒態勢につなげられると期待する。

 実証事業は富山県で実施する。国土交通省の河川国道事務所や県の施設に設置された防災・監視用カメラに加え、電力会社の施設管理カメラなどの使用を想定している。夏までに始めたい考えだ。

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