ソフトバンク柳田悠岐の劇的逆転サヨナラ3ランを生んだ意識の変化

9回2死一、二塁、右中間へ逆転サヨナラ3ランを放つ柳田(撮影・星野楽)

◆ソフトバンク5×―4西武(29日、みずほペイペイドーム)

2点を追う展開で迎えた9回に、マウンドには抑えのアブレイユ。いわば「負けパターン」からの逆転サヨナラ勝ちは本当に大きい。中でも柳田の3ランは見事の一言に尽きる。少し中に入った球を「軽打」してきっちり芯で捉えた。今季の柳田らしい一発だった。

アブレイユは150キロ台中盤の直球で2三振を奪うなど状態は良かった。その守護神の球にうまくコンタクトできたのは、お立ち台で言っていた通り、「つなぐ」意識があったからだろう。それが今季の高い打率や出塁率、打点の多さなどにつながっている印象だ。

かつては「自分が決めないと」という気負いが感じられたが、今は後ろに山川と近藤がいる。これが気持ちの余裕を生んでいる。先発の高橋になかなか自分のスイングをさせてもらえず、多少のストレスもあったはずだが、9回の打席も「つなぐ」意識を持ち続けられたことが大きかった。

加えて、今季の柳田は体の切れがいい。だから、しっかりしたスイングができている。その理由の一つには守備があるだろう。ここまで指名打者での出場は3試合だけで、他は全て右翼に入っている。守備で自然と足を動かしていることが、いい結果を生んでいる。

それにしても、3試合連続でサヨナラ勝ちしたチームの勢いはすさまじい。投打がかみ合っていることが「貯金11」に反映されているし、小久保監督も選手をうまく使っている。特に若手にはいいタイミングで、いいチャンスを与えている。それに川村や仲田らもしっかりと応えている。

先発のスチュワートは球の質は素晴らしい。今回は変化球も操れていた。あとはピンチで冷静なピッチングができるか。5回は海野の悪送球の後にぽんぽんと2死を取りながら、金子侑に3ランを浴びた。あそこを抑えていれば、信頼を勝ち取れたはず。次こそ今季初勝利を期待したい。(西日本スポーツ評論家)

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