ペット殺処分ゼロ、地域の足にも一役 岩手・滝沢市で動物保護施設が運行する無料バス 【SDGs】

岩手県内のSDGsの取り組みを紹介します。ペットの殺処分ゼロを目指す滝沢市の団体が今月から地域のためにある取り組みをスタートさせました。

(ペットの里応援団長・花蜜幸伸氏)
「盛岡駅との間の送迎をするペットの里号です」

滝沢市の動物保護施設「ペットの里」に到着したのは1台の大型バスです。「ペットの里号」と名付けられたバスからは動物保護施設の利用客やボランティアが次々と降りてきます。

(東京からのボランティア)
「便利です!ないと迎えに来てくださいと言わないといけない」

4月6日に運行が始まったこのバスは誰でも無料で乗ることができます。盛岡駅と施設を45分で結び、土日祝日に1日3往復運行します。バスの運行を計画したのはペットの里応援団長の花蜜幸伸さんです。きっかけは5年前に施設の近くを通るバス路線が廃止になったことでした。

(花蜜幸伸さん)
「最寄り駅から歩いて2~3時間かかるところ。なんとか車に乗っていない方も来られるようにしたいという思いがあった」

活動趣旨に賛同した千葉県の会社からバスを譲り受け、およそ300万円かけて修理と塗装をしました。さらに運転手はすべてボランティアとなっています。

岩手山のふもと、東京ドーム9個分の広大な敷地でドッグランや保護猫カフェ、キャンプ場などを併設する施設には現在、犬と猫を中心に160匹あまりの動物が暮らしています。バスの運行は動物と新たな家族となる人との出会いを増やし、「ペットの殺処分をゼロにする」ことだけではなく、もう一つの社会課題の解決の可能性も秘めています。

(花蜜幸伸さん)
「地域の足にもなってお役に立てればいいなと思っている。ペットの里に用事のない方もぜひ途中であれば降ろすので遠慮なく言っていただけたらそこに降りられる」

バスの乗客はあらかじめ決められている3つの停留所以外でもルート上であればいつでも途中下車ができます。人口減少や運転士不足などを背景にバス路線の廃止があとを絶たないなか、今回の運行は地域の重要な足としても一役買いそうです。ペットの命と地域の暮らしをつなぐバスが走り始めました。

© 株式会社アイビーシー岩手放送