神田財務官、介入有無コメントせず 過度な変動「看過しがたい」

Yoshifumi Takemoto Satoshi Sugiyama Takahiko Wada

[東京 29日 ロイター] - 神田真人財務官は29日午後、外国為替市場でドル/円が乱高下し、市場で介入観測が広がったたことについて、「為替介入の有無については申し上げない」と述べた。過度な変動による悪影響は「看過しがたい」とし、「必要に応じて適切な対応をする」と語った。

ドルはこの日、160円台前半に上昇した後に急落し、155円前半まで下げ幅を広げた。一気に5円下落したことで、市場では政府・日銀による円買い介入の観測が流れた。

財務省で記者団の取材に応じた神田財務官は、「投機による、この激しい異常とも言える変動が国民経済にもたらす悪影響には看過しがたいものがある」と強調。「引き続き必要に応じて適切な対応をしていきたい」、「24時間365日、平時であっても対応できる」などと述べた。

この日に為替介入をしたかどうかは明らかにせず、毎月の介入実績を5月末(4月26─5月29日分)に発表すると説明した。今の為替水準については、「われわれは必ずしも、特定の為替レートを念頭に置いて仕事をしているわけではない」とした。

欧州中央銀行(ECB)は29日、為替市場での行動についてコメントを差し控えた。

為替市場では先週の日銀金融政策決定会合後に円売りが一段と加速し、当局による介入警戒がこれまで以上に強まっていた。

スタンダード・チャータード銀行(シンガポール)のマクロストラテジスト、ニコラス・チア氏は、「きょうの動きが当局による介入だったとしても、一回で終わる可能性は低い」と話す。「160円台は当局にとって痛みの分水嶺、あるいは新たな一線を意味する」と語る。

今週は30─5月1日に米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催される。インフレ高止まりの兆しを受け、米連邦準備理事会(FRB)の利下げ観測が後退している。パウエル議長らFRB要人は、政策対応はデータ次第と強調している。

介入が効果を発揮するのは、中銀の政策シフトが条件なのかもしれない。OCBC(シンガポール)の為替ストラテジスト、クリストファー・ウォン氏は、「日銀が政策正常化の緊急性を示し、財務省が為替介入を実施すれば、財務省が単独で行動するより効果的だろう」と述べた。

日米韓は17日に初の財務相会合を開催し、外国為替市場の動向について「緊密に協議する」ことで合意している。

© ロイター