浜の産直なのに人気は旬の〇〇 産直を支える組合員には物価高による苦境を二人三脚で乗り切る夫婦も 【トレンドいわて】

ゴールデンウイークに入り、県内の産直が書き入れ時を迎える中、海産物が豊富な浜の産直で旬を迎えた食材を紹介します。

こちらは宮古市の道の駅たろうのなかにある「産直とれたろう」です。新鮮な三陸の魚や豊富な海産物が並ぶことで人気となっています。

(記者リポート)
「海の幸が自慢のこちらの産直…今の人気は旬のこちらです」

山の幸、山菜です。

(ウルイを購入した男性)
「結構利用させてもらっています。茹でてしょうゆをつけてシンプルに食べます」

さらにギョウジャニンニクを購入した人は…

(ギョウジャニンニクを購入した女性)
「道の駅を探してもなくて。見つけたのでゲットしてしょうゆ漬けにしたりして」

店内にはウルイをはじめ、ワラビやタラの芽、コシアブラなど。内陸の産直にも負けない豊富な品ぞろえです。

山菜の値段は種類や重さによって150円から400円ほどとなっています。山菜はこの時期の人気商品で観光客よりもシーズン到来を待ちわびた地元の人が買い求めています。そんな品ぞろえを支えるのが産直の組合員です。

(産直の組合員 泡渕 はる子 さん)
「この辺なんですけどね…」

「たろう産直組合とれたろう」で出荷する組合員の泡渕はる子さんです。

(泡渕 はる子 さん)
「(ギョウジャニンニクは)一番おいしいのは餃子、餃子が一番おいしいと思います」

家の脇を流れる沢に自生するギョウジャニンニクを中心に葉ワサビや、これから量が増えるシドケを産直に出荷しています。泡渕さんは山菜を採り終えると休む間もなく商品の出荷準備に取り掛かります。

(泡渕 はる子 さん)
「山菜の中では一番これが王様というか高いですね。シドケが」

組合員は売り上げの15%を産直組合に手数料として支払い、残りが収入となります。泡渕さんは近年の燃料費や物価高により梱包に使用する資材費が値上がりしたものの価格転嫁ができていない状況だということです。

袋詰めが終わると夫の福治さんも協力して産直に商品を運び込んで2人で陳列します。泡渕さん夫婦は20年前から産直の組合員として商品を出荷してきました。人気があるまんじゅうをはじめ、お菓子や花のほか、季節を通じてさまざまな食材や加工品を出荷しています。産直の持つ魅力について泡渕さんは次のように語りました。

(泡渕 はる子 さん)
「新鮮、それが一番。きょう持ってくればきょう売れる感じなのでそこがいい」

産直とれたろうでは新型コロナの影響により売り上げが減少しました。しかし、コロナの5類移行を受けて行動制限がなくなった去年の売り上げ総額は前年を1000万円ほど上回るおよそ1億円と過去最高を記録するまでに回復しました。

(たろう産直組合とれたろう 畠山 一伸 組合長)
「毎年のように新しい道の駅ができて三陸道を使って観光客が道の駅巡りをしている感じ。相乗効果です」

ゴールデンウイークは最も人の訪れる時期ですが、産直とれたろうは観光客だけではなく、地域に食料品店がないことから地元住民の台所としての役割も担っています。

(たろう産直組合とれたろう 畠山 一伸 組合長)
「客層は平日、普通の時は地元の人。震災で田老に店がなくなったのでここが一番の商店」
(泡渕 はる子 さん)
「お客さんが来てくれて、花でも何でも買ってもらって楽しんでもらって自分たちも楽しいし生きがいですね、産直って」

海の幸だけでなく山の幸も並び地域の食卓を支える浜の産直。旬を迎えた山菜は5月上旬まで店内に並ぶ予定です。

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