【柔道】中野寛太 全日本選手権で初優勝「連覇を目指したいし、ロス五輪狙っていきたい」

中野寛太(ロイター)

恩師の言葉を力に変えた――。無差別級で争われる柔道の全日本選手権(29日、東京・日本武道館)、決勝が行われ、中野寛太(旭化成)が決勝で原沢久喜(長府工産)を下して初優勝。6回目の挑戦で頂点の座を勝ち取った。

右手を小さく突き上げて喜びを表現した。8分間の戦いは前半こそ中野のペースで進めるも、後半は原沢の攻撃に苦戦。一進一退の攻防は復活した旗判定の末、中野の軍配が上がった。「(過去の大会は)勝ち残っている選手を見ながら情けない気持ちで毎年過ごしていた。去年負けてからはこの大会に優勝することだけに集中してやってきた。間違えていなかったことを証明できた」と声を弾ませた。

決勝前には天理大時代の恩師で2012年ロンドン五輪男子100キロ級代表の穴井隆将監督から「時間のこと考えずに自分のペースで」とアドバイスをもらったという。疲労が溜まった中で迎えた最終決戦だったが「非常に冷静に戦えた。内容は悪いと思うけど、とりあえず勝ち切れたことが良かった」。大一番でのタイトル奪取に「全然結果で恩返しすることができず、非常に申し訳ない思いだったけど、今日優勝できて少しは喜んでくれているかな」と感慨深げに語った。

24年パリ五輪100キロ超級代表の座は斉藤立(JESグループ)に譲ったものの、視線は前を向いている。「(全日本選手権の)連覇を目指したいし、次の(28年)ロサンゼルス五輪、来年の世界選手権を狙っていきたい」と気合十分。今大会で得た自信を胸に、世界への大きな一歩を踏み出す。

© 株式会社東京スポーツ新聞社