独CPI、4月は2.4%上昇に加速 コア・サービス部門は伸び鈍化

[ベルリン 29日 ロイター] - ドイツ連邦統計庁が29日発表した4月の消費者物価指数(CPI)速報値は欧州連合(EU)基準(HICP)で前年同月比2.4%上昇し、伸び率は3月の2.3%を上回った。食品価格が上昇し、エネルギー価格の下げ幅が縮小した。

コメルツ銀行のエコノミスト、ラルフ・ソルベン氏は「1年半にわたって見られたドイツのインフレ率の鈍化傾向は当面終わった可能性がある」と述べ、インフレ率は今後数カ月に再び拡大する可能性があると言及した。

IFO経済研究所のサーシャ・モーレ氏は「今後数カ月、インフレがこれ以上鈍化する可能性は低く、2%強にとどまる見通し」という見方を示した。

ただ、変動の激しい食品とエネルギー価格を除いたコア指数は4月に3.0%上昇と、3月の3.3%から下がった。

コメルツ銀行は、コアインフレ率は現在の水準付近で推移すると予想している。サービス分野の企業が大幅な賃金上昇を顧客に転嫁していることなどが背景にある。

4月のエネルギー価格は前年同月比1.2%下落。ただ、3月の2.7%下落から、下げ幅は縮んだ。

食品価格は0.5%上昇した。

サービス部門のインフレは3.4%上昇と、前月の3.7%から減速したものの、賃金の伸びがインフレに上振れ圧力を加えている。

VP銀行のチーフエコノミスト、トーマス・ギッツェル氏は「サービス部門の物価上昇トレンドが弱まっていることは喜ばしい」とし、 欧州中央銀行(ECB)にとっても朗報になるだろうと述べた。

ユーロ圏全体のインフレ率は30日に発表予定。ロイターがまとめたエコノミスト調査によると、ユーロ圏のインフレ率は前月から変わらず2.4%上昇になると予想されている。

ECBは、6月に主要政策金利の引き下げ開始を決定することを示唆している。

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