U23日本代表、パリ五輪出場決定! 8大会連続で出場権を掴む、イラクを破りアジア杯決勝進出

AFC U23アジアカップ カタール2024の準決勝が29日に行われ、U-23日本代表とU-23イラク代表が対戦した。

パリオリンピック2024(パリ五輪)の出場権を懸けた今大会も佳境に差し掛かった。パリ五輪のアジア枠は「3.5」となっていることから、準決勝まで進んだ4チームは本大会出場へ“リーチ”をかけた状態だ。この試合の直前にはU-23ウズベキスタン代表がU-23インドネシア代表を2-0で破り、一足先に決勝進出を決めるとともに、初の五輪出場が決定。アジアからの2チーム目として、U-23日本代表とU-23イラク代表の勝者がパリ行きの切符を掴む。

若き日本代表は今大会、グループBの戦いを2勝1敗で終えた。6日に行われた第1節でU-23中国代表を1-0で破ると、19日に行われた第2節ではU-23UAE代表を2-0で撃破したものの、22日には首位通過を懸けた第3節U-23韓国代表戦を0-1で落とした。グループBの2位で決勝トーナメントへ進むと、25日には準々決勝で開催国のU-23カタール代表と対戦。前半途中に退場者を出したU-23カタール代表をなかなか攻略できず、2-2で延長戦までもつれ込んだが、その延長前半に“主砲”の細谷真大が勝ち越しゴールを決める。延長後半には内野航太郎がトドメを刺し、4-2で激闘を制していた。

一方で、対戦相手のU-23イラク代表は今大会、U-23サウジアラビア代表、U-23タジキスタン代表、U-23タイ代表と同居したグループCを2勝1分で首位通過。27日に行われた準々決勝では、ベトナム代表を1-0で破っていた。U-23日本代表よりも1日少ない中2日で“決戦”に臨むこととなる。

勝てばパリ五輪出場が決まる運命の一戦に向けて、U-23日本代表を率いる大岩剛監督は、U-23カタール代表戦からスターティングメンバー2名を変更。荒木遼太郎と平河悠が先発に戻ってきたほか、キャプテンの藤田譲瑠チマ、松木玖生、山田楓喜らが連続してスタメンに並んだ。

試合は序盤からU-23イラク代表が5バックの布陣を敷き、ボールを握っている時は両サイドバックが高い位置を取りつつも、U-23日本代表が押し込む時間帯では最終ラインを5枚として対応。U-23日本代表は立ち上がりから積極的な入りを見せ、10分には決定機を構築。ピッチ中央付近で前を向いた藤田が縦パスを差し込むと、敵陣中央で荒木がうまく前を向く。5バックの間に生まれたギャップを見逃さず、スルーパスを通すと、抜け出した細谷がペナルティエリア左からフィニッシュ。しかし、ここはGKフセイン・ハッサンに阻まれた。

直後の11分にはルーズボールを拾ったアリ・ジャシムが左からカットインして右足を振り抜くも、GK小久保玲央ブライアンが難なく対応。その後はU-23日本代表がボールを握りながら、相手を見てゴールへ迫る回数を増やしていく。

このような状況で生まれた28分、均衡が破れた。U-23日本代表は自陣センターサークル内で前を向いた藤田が、背後のスペースへ浮き球のパスを供給すると、絶妙なタイミングで最終ラインを破った細谷がこのボールに反応。トラップしてから1度は相手に追いつかれ、ゴールに背中を向けたものの、見事なターンから右足で流し込む。準々決勝で復活を遂げた“エース”が2試合連続ゴールを決め、U-23日本代表が先手を取った。

追いつきたいU-23イラク代表は34分にアクシデントが発生。立ち上がりの時間帯、競り合いの後で足を踏まれていたセーラム・アーメドがプレー続行不可能となり、リダ・ファディルが送り出される。高さのあるアーメド不在で残りの時間を戦うこととなった。

U-23日本代表の1点リードで前半も終盤に差し掛かると、42分には再びスコアが動く。U-23日本代表は敵陣左サイドで生まれたルーズボールで大畑歩夢が粘りを見せ、前を向くと、強い横パスを入れる。ボックス手前でサポートしていた藤田がダイレクトで叩くと、引き取った荒木がGKとの1対1を冷静に制した。U-23日本代表がパリ行きを手繰り寄せる追加点を奪い、2点をリードして前半を終えている。

後半に入ると立ち上がりに右サイドを崩され、ヒヤリとするシーンを作られたものの、以降はU-23日本代表のチャンスの時間が続く。松木、山田、細谷と連続して惜しい場面を生み出しながら、決定的な3点目は挙げられない。

U-23日本代表がチャンスを仕留めきれずにいると、最低でも2点が必要なU-23イラク代表が良い形でゴールへ迫るシーンを増やしていく。セカンドボールを拾われる場面も目立ちU-23イラク代表の時間が続いたが、U-23日本代表はボックス内で集中力を切らさず、GK小久保も冷静にシュートを抑えていく。

嫌な時間帯を凌いだU-23日本代表は66分、自陣から細かくボールを繋ぎ、引き取った藤田がドリブルでスペースを前進。左へ渡すと、平河が得意のドリブルで縦へ突破し、クロスボールを送る。待っていた細谷がヘディングシュートを放ったが、ここは右ポストに嫌われた。

U-23日本代表の2点リードで時計の針が進むと、U-23イラク代表はロングボール1本で前へ出る。74分、最終ラインでボールを持ったザイド・タシーンがロングフィードを供給すると、木村誠二とうまく入れ替わったニハド・モハメドがボックス右の深い位置へ侵入。マイナスへの折り返しにリダ・ファディルがダイレクトで合わせると、シュートは高井幸大のブロックの末にクロスバーを叩いた。

後半は押し込まれる時間も少なくはないなか、大岩監督は終盤に差し掛かった79分に荒木と松木を下げ、佐藤恵允と川﨑颯太を投入。72分から入っていた
藤尾翔太が細谷と最前線でコンビを組み、川﨑と藤田が中盤を形成する4-4-2に変更。5分間のアディショナルタイムに入る直前には、細谷と大畑を下げて、内野航太郎、そして3試合の出場停止から戻ってきた西尾隆矢を送り出す。後半は総じて難しい時間帯が続いたが、無失点で凌ぎ切り、試合は2-0でタイムアップを迎えた。

この結果、U-23日本代表が決勝進出。パリ五輪出場権を掴み取った。五輪への切符を掴むのは、1996年のアトランタ大会から8大会連続のこと。無事にパリ行きの切符を手にし、今度は2016年大会以来となる大会優勝に照準を合わせる。一方、U-23イラク代表は3位決定戦に回り、2016年のリオデジャネイロ大会以来となる五輪出場を目指す。

3位決定戦は現地時間で5月2日、決勝は3日の開催予定。勝利したU-23日本代表は優勝を懸けてU-23ウズベキスタン代表と、敗れたU-23イラク代表はパリ五輪出場権を懸けてU-23インドネシア代表と、それぞれ対戦する。

【スコア】
U-23日本代表 2-0 U-23イラク代表

【得点者】
1-0 28分 細谷真大(U-23日本代表)
2-0 42分 荒木遼太郎(U-23日本代表)

【スターティングメンバー】
日本代表(4-3-3)
GK:小久保玲央ブライアン
DF:関根大輝、木村誠二、高井幸大、大畑歩夢(90分 西尾隆矢)
MF:藤田譲瑠チマ、荒木遼太郎(79分 佐藤恵允)、松木玖生(79分 川﨑颯太)
FW:山田楓喜(73分 藤尾翔太)、細谷真大(90分 内野航太郎)、平河悠

【ゴール動画】前半に細谷真大&荒木遼太郎がゴール!若き日本代表がイラク撃破

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