【阪神】岡田監督が最下位ヤクルトを警戒する理由 今季の展望「まだ分からんわ」

阪神・岡田監督

俺が今、警戒しているのはあのチームよ――。阪神は29日の広島戦(マツダ)が雨天のため、試合前に中止となった。開幕直後こそなかなか貯金を増やせなかったものの、徐々に盛り返して首位を走る。球団史上初となるリーグ連覇へ、2位・巨人に1・5ゲーム差をつけているが、岡田彰布監督(66)には不気味に映っている球団があるという。

岡田監督が中止の決定を知らされたのは球場に向かう前のチーム宿舎だった。まだミーティング中だった午後2時過ぎに「中止って聞いてな。俺も拍子抜けしたわ」と苦笑い。長いキャリアを持つ12球団最年長指揮官をもってしても「俺、プロ入ってから初めてかも分からんわ。こんなに早い時間に広島が中止を発表したのはな」とつぶやいた。

前日28日と前々日27日のヤクルト戦(甲子園)には、ダブルストッパーとして運用しているブルペンの切り札・岩崎優投手(32)とハビー・ゲラ投手(28)の2人を連投させる形でマウンドへ投入。いずれも5―4、4―3と僅差のゲームを勝ち切り、カード勝ち越しを決めた。

チームの生命線でもあるブルペン陣の消耗を抑えるため、岡田虎はここまで中継ぎ投手の3連投を避けてきた。仮にこの日の試合が開催され、僅差リードで終盤を迎えた場合、勝ちパターンの継投をどう組み立てていくかは判断が難しくなるところだった。

とはいえ、この日の広島に雨が降ることは、事前の気象予報で十分に予測できるものだった。それでも「この日の雨を見越して、昨日(28日)は岩崎とゲラを連投させることができたのでは?」と尋ねられた虎指揮官は「そんなん違うわオマエ」と首を横に振る。

そんな起用の幅を狭める形となったとしても〝2枚看板〟を連投させたところに、岡田監督の思惑が見て取れる。ヤクルトは借金4で最下位に沈む。それでも虎将は「ヤクルトはよう打つやんか。今日も(巨人を相手に)9―0やろ。この前の試合もよう3、4点で抑えられたわ。あんなん御の字やで」と2021、22年にリーグ制覇を果たした燕の底力に警戒を怠らない。

つまりゲラ&岩崎の連投も、次戦の空模様どうこうではなく、難敵とみなした相手に〝取れる白星を全力で取りにいった結果〟と表現したほうが適切なのかもしれない。

以前には「開幕からホーム&ビジターで2回りも対戦すれば、各チームの戦力が見えてくる」と語っていた岡田監督だが、現段階で今季の展望を問われても「まだ分からんわ」と思案顔を崩さない。長丁場となるシーズンの戦いを知り尽くす百戦錬磨の老将だけに、〝伏兵〟がどこに潜んでいるか、今後も注意深く探り続ける。

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