4月27日の西武戦で延長10回に登板し、力投する津森。4勝目を挙げた(撮影・星野楽)
中継ぎながらリーグトップの4勝を挙げているソフトバンクの津森宥紀投手(26)にじっくりと話を聞きました。開幕から好投を続けるプロ5年目の右腕は、投球フォームや球種に変化を加えてレベルアップ。リリーフへのこだわりも語ってくれました。さらに同郷の小久保監督との意外な関係も告白。中学時代、小久保家におじゃましたこともあるそうで…。(聞き手・構成=小畑大悟)
―開幕から素晴らしい投球で無失点が続いている。
「成績だけを見たらいい方向に進んでいると思います。でも、あまり数字は見ないようにして、無意識でいたい。一人一人を抑えていけたらという感じです」
―今季初登板での白星(3月31日・オリックス戦で1回無失点)など早くも4勝を挙げた。
「ラッキーですね。いつもこの時期まで(ペースが)速いんですよ(昨季も4月までに3勝)。なぜか分からないんですけど。でもうれしいです。いい流れができているのかなと」
―勝ち運を持っている。
「よく言われますね」
ブルペンでは捕手を座らせ10~15球
―回や状況などいろんなケースでの登板がある。
「ある程度、自分の中で予想を立てながら気持ちを切らさずにしっかりと準備ができています。股関節のストレッチなどをして、試合経過を見ながらですね」
―ブルペンでの球数は。
「基本、(捕手が)座って10から15球ぐらいです。(プロ)1年目からそれを基準にやって、慣れた感じ。1年間フルで投げると考えたら、その辺で調整しないと持たないので」
【次ページに続く】割合が増えた球種は?
―タフな活躍を続ける中で夏場に少し課題が残る。
「毎年の課題ですね。ただ、そこだけを意識したら逆に悪くなるのかなと思って、1日ずつ大切にしながらやっていきたいです」
―今年の投球スタイルに変化が生まれている。
「大きくは変わっていませんが、スライダー、フォークの割合が増えました。あと(左)脚を上げた時の角度やバランスも変えた。それで良くなっているのかもしれません」
フォーク…打者の迷いが増える
―フォークは昨年までほとんど使っていなかった。
「甲斐さんとも話をして、それがあるというだけでも打者(の迷い)が増えると。以前は真っすぐとスライダーなので真っすぐ一本を張っておけばと思われていた。そこにフォークが入ってくると、選択肢も増える。(打者の)頭に入れるだけでも違いますね」
―左脚は。
「ひねる感じで斜め気味に上げていましたが、今年はシンプルに真っすぐ上げています。(打者の)見えやすさもあるし、バランスを取りやすい。以前は脚を上げた時に開くのが早くなってしまうことがありました。後ろ(背中側)に壁があるイメージです。あとはテイクバックで遠回りしないようにしています」
―今年、同じ和歌山市出身の小久保監督が就任。お父さんも親交があった。
「小学生のころから(和歌山で)小久保裕紀杯があったので知っていましたし、中学の時も知り合いが小久保さんの親族と仲が良く、何度か家にも行かせてもらいました」
【次ページに続く】監督の家に?
―小久保監督の家に?
「はい。サインをもらったり、写真を撮ってもらったり。あとはちょっとしゃべって帰ったぐらいです」
―すごい経験…。
「近すぎて、あまりそんな感じはしないですね。言い方はあれですけど、お父さん?みたいな感じです」
あの緊張感は中継ぎでしか
―その「お父さん」とプロで再会。監督と選手の間柄になった。
「やりやすいですね。1軍監督になられた時、僕が『頑張ってください』と言ったら『おまえも頑張れ』みたいな感じの冗談も言ってもらえるぐらいでした。一緒の和歌山なので、一緒に優勝したいと思います」
―将来的な先発志向は。
「いや、先発はなしです。中継ぎで長いこと生きていきたいなと思います。クローザーができるぐらいのいい投手になれれば一番」
―それだけ中継ぎに生きがいを感じている。
「1イニングですけど、あの緊張感は中継ぎでしか味わえない。そういうわくわくは多いですね。コンディションを整えながら1年間プレーしたいです」
【次ページ】津森の年度別登板成績