サクラソウ群落 花急減 獣害、気候変動影響か(群馬・桐生市)

花数が急減している今年のサクラソウ群落

 例年、この時季に見頃を迎える群馬県桐生市新里町赤城山の県指定天然記念物「新里のサクラソウ群落」に異変が生じている。サクラソウの数は近年、減少傾向にあったが、今年は急減。「群落」と呼ぶには寂しいほどの花数となっている。

 群落は鏑木川上流、標高450メートルの赤城山舟原地区約1600平方メートル。1987年の集中豪雨で株が流失したほか、冠水で全滅の危機にひんしたこともあったが、96年に県指定天然記念物になった。群落を守ろうと、旧新里村がこれまでに木製水路を3度整備したが、桐生市との合併(2005年)以降は一度も修繕されていないという。

 保護活動に取り組む新里文化財保護協会(天沼威会長)は5月3日まで、群落と近くのサクラソウふれあい公園の2カ所で案内を兼ねたパトロールを続けている。群落周辺ではイノシシが掘り起こした穴が多数見つかったため、今年は電気柵を設置した。

 天沼会長は「イノシシ、シカの獣害に加え、水路の破損による株流失も起きている。気候変動による影響もあるかもしれない。さまざまな要因が重なり、群落が消えかかっている」と危機感をにじませる。

 赤城南面でサクラソウの個体調査と保護活動を続けているNPO法人「県自然保護連盟」によると、金網で囲った区域では株数の減少は起こっていない。棚橋弘事務局長は「しっかりとした構造の囲いを作らないとシカ、イノシシが侵入する」と警鐘を鳴らす。

 桐生市観光交流課は「花数が減っていることは把握している。地元から相談があれば、手伝えるように考えている」とした。

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