厚労省/安全衛生対策充実へ議論開始、一人親方を安衛法で位置付けへ

厚生労働省は26日に東京都内で有識者会議を開き、建設現場で働く一人親方など個人事業者の安全衛生対策を充実するため議論を開始した。労働者の健康と安全の確保を主目的としている労働安全衛生法(安衛法)で、個人事業者も保護対象に位置付けるため、法改正を視野に検討。個人事業者自身への対策措置の義務付けに向けた規制の在り方も探る。同日の会合で検討の方向性を確認し、論点を示した。
個人事業者を法に位置付けるに当たり、定義を明確化する。▽労働者を使用しない▽法人、非法人(個人)かは問わない▽請負契約や業務委託契約など契約の有無は問わない-の3条件を個人事業者の定義として挙げた。個人事業者と類似の作業を行う中小企業の事業主や役員も被災しているため、そうした労働者以外の者と個人事業者を「個人事業者等」と位置付ける。安全衛生に関する保護対象や義務主体としていく。
労働者の保護を主目的とする安衛法を踏まえ、個人事業者等自身に保護措置の実施を求めるのは、労働者と同じ場所で就業する場合と提言した。同様の場合、事業者と注文者、建築物や機械など貸与者にも個人事業者の保護措置を求めることを提案した。個人事業者等が労働者とは異なる場所で働く場合は、安衛法で既に措置している発注者や注文者による保護規定を活用する考えだ。
法令に基づく措置が困難な場合でも、個人事業者等の危険や健康障害を防止するため、ガイドラインなどで関係者に適切な対応を求めていく。

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