人手不足が深刻な日本は外国人労働者をうまく活用できるのか―中国メディア

中国メディアの環球時報はこのほど、日本の深刻な人手不足と外国人労働者の活用について伝える記事を掲載した。写真は東京・池袋。

中国メディアの環球時報はこのほど、日本の深刻な人手不足と外国人労働者の活用について伝える記事を掲載した。

記事はまず、日本について「外国人の力を借りなければ社会運営はますます困難になるだろう」とし、日本の生産年齢人口(15~64歳)は1995年(の約8700万人)をピークに減少に転じており、2040年には約5980万人にまで減少し、約1100万人余の労働供給が不足すると推計されていることを取り上げた。

その上で、厚生労働省によると、23年10月末時点での外国人労働者数はこれまでで最も多い約205万人であること、ヒューマンホールディングスが今年2月に発表した外国人材雇用に関する意識・実態調査によると、調査に応じた企業の43.5%が「外国人材を雇用している」と回答したこと、「今後、外国人材を雇用したいと思う」と回答した割合が5割を超えたことも紹介した。

そして、「日本政府は近年、外国人労働者を取り込むための新たな政策を継続的に導入してきた」と指摘。2009年の「出入国管理及び難民認定法」改正で技能実習生を労働者として正式に認めたものの、長時間労働や企業による賃金未払い、労働者への抑圧などの「人権侵害」が長年続いてきたため、日本政府が先月、技能実習に代わる新制度「育成就労」を新設する法案などを閣議決定したことを取り上げ、日本経済新聞の報道を引用し、技能実習では原則3年間転職を認めていないことから、新制度は本人意向の転職を制限できる期間を業種ごとに1~2年の間で設定できるようにし、加えて日本語や技能などの条件を満たすことなどが条件となることを紹介した。

また、国内人材を確保することが困難な状況にある産業分野において、一定の専門性・技能を有する外国人を受け入れることを目的とする「特定技能制度」が2019年に創設され、受け入れ可能な分野は、介護や建設業など12分野であること、受け入れ枠は34万5000人に設定されたが、実際の在留者数は23年11月時点で約20万人にとどまっていること、政府が24年度から5年間で最大82万人の受け入れ見込み人数を試算していること、自動車運送業、鉄道、林業、木材産業の4分野の追加を検討していることも紹介した。

記事は、日本に在留する外国人は23年12月末時点で約341万人と、22年から33万人余り増え過去最多となったこと、国籍別では中国が最も多く、ベトナムやミャンマー、インドネシアなどから日本に在留する人が大きく増えていること、在留資格別では「技能実習」と「特定技能」の人数が顕著に増加していることも取り上げた。

一方、「外国人労働者数は増加しているが、収入面での誘引力は低下している」と指摘。外国人材の紹介会社OHAYO(オハヨー)の最高経営責任者、ベトナム出身のチャン・ゴック・ティン氏によると「日本に来てまだ日が浅く慣れていない技能実習生には、円安で思うように稼げず母国に帰りたいという人が多い」といい、最低賃金で働く技能実習生の場合、手取りの給与から家賃や食費を除くと手元に残るのは4万~6万円ほどで、ここから母国に送金したり借金返済に充てなければならず、外国人労働者にとって日本で働く魅力が薄まっているとする日本経済新聞の報道を取り上げた。

また「外国人が日本で働く理由は高収入だけではない」とし、22年に出入国在留管理庁が日本で暮らす中長期の在留外国人を対象に行ったアンケート調査をよると、日本に来た主な理由として「スキル獲得・将来のキャリア向上のため」(19.3%)、「日本が好きだから」(18.0%)、「勉強のため」(17.1%)、「お金を稼ぐ・仕送り(送金)のため」(15.6%)などが挙がったことも紹介。ニッセイ基礎研究所の鈴木智也氏によると、日本の魅力は「技術・サービスの先進性」「ソフトパワーの魅力」「所得環境の優位性」と解釈でき、同氏が、日本が今後も所得環境面での優位性を維持していくには生産性の引き上げが不可欠となること、日本のファンを増やし日本での就労を希望する外国人材を増やしていくためには、エンターテインメントなどクリエイティブ産業の展開を戦略的に進めてジャパンブランドの形成につなげるクールジャパン戦略の実効性を高める必要があるとの認識を示していることにも触れた。(翻訳・編集/柳川)

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