「夫婦の夢だったマイホーム購入にためてきた全財産を失い、死ぬことも考えた」。交流サイト(SNS)で知り合った女性から投資を持ちかけられ、2週間もたたないうちに1千万円をだまし取られた。最後まで会うことも、声を聞くこともなかった「ココ」を名乗る人物を信用してしまった自分を責め続ける毎日。投資詐欺に遭った福井県内の40代男性が福井新聞の取材に答えた。
昨年3月20日、男性の勤め先のインスタグラムに「ココ」という女性からダイレクトメッセージが届いた。「これはあなたの仕事?」「日本について知りたい」。マカオでアパレル関係の会社を経営しているというココ。インスタグラムには海外旅行の様子や高級車などセレブな生活をうかがわせる写真が並ぶ。男性は「きれいな人だなと思った」。ココからLINE(ライン)で連絡を取り合おうと提案された。
互いの自己紹介などたわいのないやりとりが続き、23日の夜、ココは仮想通貨の投資家でもあること、特別な相場分析によりリスクがないこと、今晩だけで7713ドルの利益を上げたことなどを話してきた。疑うことなく「自分とは住む世界が違うすごい人と出会えた」と喜んだ。⇒有名人なりすまし…SNS型投資詐欺、福井でも被害深刻
翌24日、投資を学びたいと伝えると、実在する仮想通貨取引所のリンクが送られてきた。口座開設の方法などを教わり「まずは少額から」というアドバイス通り、10万円を入金。振込先が日本人の個人名義の口座であることを疑問に持ったが、ココを信用しきっていた。紹介された取引所のサイトが、本物そっくりの偽物だということに、この時は気付かなかった。
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言われるがままに偽サイトを操作し、初めての取引結果はプラス5千円。「簡単だな」と思うと同時に、ココの指示通り、追加入金して元手を増やすことにした。男性には妻がおり、マイホームの購入が2人の夢だった。「もっともうけてから妻を驚かせよう」