【コラム・天風録】「もう」か「まだ」か

 まとまった休みにやろうと思っていたあれやこれやが、いざ休みに入ると手に付かない。「連休あるある」だろう。10連休ならきょうは4日目。「もう」か「まだ」か。いずれにせよ貴重な時間に違いない。黄金週間とはよく言った▲はるかに長い「黄金の3年」を、岸田文雄首相は手にしたはずだった。一昨年の夏から衆院を解散しない限り大きな選挙がしばらくない。じっくり政権を運営できるといわれた。こちらの黄金は既に半分を過ぎた。思い通りいかず「もう」の気分か▲首相がやろうとしていたあれやこれやは、どこまで進んだか。低迷する支持率と格闘し、裏金問題では場当たり的な対応が続いた印象だ。このたびの衆院3補選の全敗は、国民の不満や怒りが表れた形に見える▲暗雲が漂う中、首相は「まだまだ」と踏ん張れるのか。6月にも、衆院を解散するとの見方がある。9月の自民党総裁選に向けた動きも活発になりそうだ▲有意義に時を過ごすこつは、優先順位をつけて計画を立てることという。それは10日も3年も数カ月も変わらない。やるべき政策を棚上げし首相であり続けようとするなら、もう我慢できないという声が、まだ強まるだろう。

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