元アイドル渋谷哲平さんが明かすコロナ後のギャラ事情と大病「赤いヘルプマークを付け…」(あの人は今)

渋谷哲平さん(C)日刊ゲンダイ

【あの人は今こうしている】

渋谷哲平さん(62歳/元アイドル)

1970~80年代はアイドル黄金時代といわれるが、その一角を占めていたのが渋谷哲平さんだ。激しいダンスが印象的な「Deep」(日本コロムビア)で、日本レコード大賞新人賞を受賞するなどした。最近はテレビで見ないが、渋谷さん、今、どうしているのか。

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渋谷さんに会ったのは、京王井の頭線のとある駅そばの喫茶店。

「30歳からこの近くに住んでいるので、もう30年以上。便利だし、家族が『ここを離れたくない』と言うので引っ越せないんです」

渋谷さん、まずはこう言った。家族というのは、28歳のときに結婚した3歳年上の元ヤングメイツ(NHKの音楽番組「レッツゴーヤング」のバックダンサー)の夫人と、30歳の長男、27歳の長女だ。

「子どもは2人とも独身なんですけど、娘は独立しているので、今は3人で暮らしています。子どもは2人とも会社員。僕を見て、芸能界は儲かんないな、と思ったんじゃないですか(笑)」

「儲かんない」と言いつつ、渋谷さんの芸能活動は、昨年、デビュー45周年を迎えた。

「歌手だったのは4年ほどで、あとはずっと役者。歌手時代は仕事をしている感覚はあまりなかったんですけど、初めてドラマのレギュラーをいただき緑山スタジオの控室で、年上のADさんに『よろしくお願いします』ときちんと挨拶していただいたとき、『ちゃんと、芝居をやらなくちゃ』と身が引き締まったのを覚えています」

以来、「銭形平次」(フジテレビ系)などの時代劇や2時間ドラマ、ミュージカルなどの舞台に出演してきた。

「ところが、東日本大震災後に仕事が減り、ギャラもバーゲンどころじゃないほど下がりました。映画は去年、『いまダンスをするのは誰だ?』が公開になり、その後も自主製作映画に出演しましたが、我ながらよく生きている、と思いますよ(笑)。ただ、自分としてはアイドルとして黄色い声援を浴びたのはたった3カ月でしかなくて、それから浮き沈みがあったとか、ストレスを感じることもなかったんですよね。ずっと楽しくやってこられて、いつ死んでも後悔はない、と思っていますよ」

62歳で死を意識するのは早いが、大病の経験がそうさせたようだ。

「55、56歳のとき、胆石が胆管に詰まり胆のうを取る腹腔鏡手術をしました。60歳のときには、右足の膝蓋の裏の下あたりに血栓が詰まり、それを取る手術を3回しました。多血症気味で、血栓ができやすいのだそうです。今はまったく問題ないとはいえ、大好きな鎌倉にフラッと出かけるときは、途中で足が動かなくなると困るので、“転ばぬ先の杖”で杖を持って歩き、赤いヘルプマークをバッグに付けていますよ」

コワモテ風で、タフそうに見えるので意外だ。

「そう、だから杖を持ってヘルプマークを付けていないと、電車で優先席に座っていると嫌な顔をされるんですよ(笑)。厄年の60歳のときは、自分だけじゃなく、妻も大病を患い、息子は仕事中の事故で意識不明になり、集中治療室で1カ月半目を開けず……あのときはきつかったですね」

5月5日に狩人、堤大二郎と「サンデーズライブ」開催

現在は落ち着いた暮らしを取り戻している、というから一安心だ。

「今は健康に気をつけて、いただいた仕事を心をこめて丁寧にしよう、と心がけています。去年、狩人の弟・加藤高道さんに声をかけてもらい、高道さんが立ち上げた事務所と業務提携し、狩人、堤大二郎さんと3組で『サンデーズライブ』を始めました。初ライブのとき、チケットが2時間で完売したと聞き、求められていることをやって、これまで応援してくれた方たちに恩返しをしたい、という気持ちが強くなりました」

個人でも、アコースティックライブやファンミーティングなどを2カ月に1度ほど行っている。

「ファンの有志が10年ほど前に僕のサイトを立ち上げ、花見だ、バーベキューだ、と企画してくれるんです。5、6時間、アコースティックギターやカラオケを使って、他の人の歌も含め20曲以上歌っています。僕は愛想が悪いぶん、サービスしなきゃね(笑)」

さて、横浜生まれ、川崎育ちの渋谷さんは、中学3年のとき、同級生に誘われオーディション番組「スター誕生!」(日本テレビ系)に挑戦し第20回決勝大会で最優秀賞受賞。78年、「朝日に向って」で歌手デビューすると、3枚目のシングル「Deep」がヒットし日本レコード大賞新人賞を受賞した。

「『Deep』のダンスは、『レッツゴーヤング』で振り付けを担当していた西条満先生が付けてくれたんです。今も『踊って』と求められるんですけど、みんな、オレを何歳だと思ってるの(笑)? でも、歌を付けたら息があがっちゃってダメですけど、踊るだけならできますよ。ダンベルなどで週3日、鍛えてますから」

5月5日、東京・渋谷のミュージックレストラン「ラドンナ原宿」で、狩人、堤大二郎と「サンデーズライブ」を行う。

(取材・文=中野裕子)

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