橋幸夫さん「吉田音楽、歌い続ける」 茨城・日立 記念館20周年で式典 

記念講演する橋幸夫さん=日立市宮田町

茨城県日立市出身で国民栄誉賞に輝いた作曲家、故吉田正氏(1921~98年)を顕彰する吉田正音楽記念館(同市宮田町)が29日、開館20周年を迎え、吉田門下生で名誉館長の橋幸夫さん(80)を招いた記念式典と講演会が開かれた。橋さんは市民約60人を前に吉田氏との思い出を披露し、「命ある限り、吉田先生が作ってくれた曲を大事に歌っていく」と語った。

記念館は、吉田氏が日本の音楽界に残した功績と吉田メロディーを後世に伝えていこうと2004年4月、かみね公園の頂上に開館した。その足跡と作品を紹介する映像シアターや、吉田門下生が語る思い出などを楽しめる。

橋さんはデビュー前の最初の師・故遠藤実氏の橋渡しで吉田氏の門下に入ったといい、茨城なまりで「橋くん」と呼び続けた吉田氏を「愛にあふれた人だった」と回顧。歌のレッスンの時は、吉田氏が弾くピアノの鍵盤を見ることを求められたという。

17歳時のデビュー曲「潮来笠」を最初は「しおくるがさ」と読み違い、吉田氏から茨城の地名だと教えられたと懐かしみ、「茨城は私の故郷、不思議な縁だ。これから切っても切れない縁が続く」と言われたと振り返った。

橋さんは昨年、一度は歌手活動を引退したが、今春に活動再開を表明。「歌という大切な宝をたくさんもらった。まな弟子の一人として歌い続ける」と語り、最後に「二代目橋幸夫yH2」とともに名曲「いつでも夢を」を披露した。

記念式典では関係者がくす玉を割り、節目を祝った。吉成日出男副市長は「より一層愛される記念館となるよう努めていく」とあいさつ。周辺の花壇整備などを行うボランティア団体「夢倶楽部」には、橋さんから感謝状が贈られた。

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