『鼻につく』の意味を解説! 英語表現や例文、使い方も

※写真はイメージ

あなたは、『鼻につく』という言葉を見聞きした経験はありますか。『鼻につく』とは、人の振る舞いなどがうっとうしく感じられる様子を表す慣用句です。

この記事では、『鼻につく』の意味や例文、英語表現などを紹介します。『鼻につく』人との関わり方についても触れるので、さまざまなシーンで役立ててみてください。

『鼻につく』の意味・英語表現

まず、『鼻につく』の意味や英語表現について見ていきましょう。

意味

『鼻につく』とは、『飽きて嫌になる』『人の振る舞いなどがうっとうしく感じられる』という意味です。

もともと、『鼻につく』とは『においが鼻に付きまとう』という意味の慣用句でした。鼻ににおいが付いてうっとうしい様子から、転じて、人に対する不快な気持ちを表す言葉として使われるようになっています。

英語表現

『鼻につく』という慣用句は日本語独自の表現なので、直訳できる英語はありません。しかし、『うっとうしい、気に障る』といったニュアンスの表現は英語にも存在するので、いくつか紹介します。

  • stick in one's craw

【例】

My mother's constant bragging really sticks in my craw.

(私の母の絶え間ない自慢話は、私には我慢ならない。)

『stick in one's craw』は『気に食わない、我慢ならない』という意味です。直訳すると『胃袋に突き刺す』となり、不快な気持ちが長引いている時や、いらいらした時に使います。

  • annoying

【例】

That baby's cry is annoying.

(あの赤ん坊の泣き声にいらいらする。)

『annoying』は『うっとうしい、いらいらさせる、気に障る』という意味です。他人に対する煩わしさや、ちょっとした怒りを表現する時に使います。

  • get up one's nose

【例】

The smell got up my nose.

(そのにおいは私をいらいらさせた。)

『 get up one's nose』も『いらいらさせる、癇に障る』という表現です。口語表現なので、使う場面には注意しましょう。

『鼻につく』の使い方

次に、『鼻につく』を実際にどのように使うのか、例文で確認していきましょう。

例文その1

・あの人の親切は度が過ぎていて、鼻につく。

他人からの適度な親切はありがたくても、度が過ぎているとかえってうっとうしい、というニュアンスを表現している文です。相手の出過ぎた態度を迷惑に感じている様子を表しています。

例文その2

・彼の話は自慢が多くて、鼻につく。

自慢話を聞かされ、うっとうしく嫌な感じを表している文です。取り立てて悪口などではなくとも、相手の話す内容が自分にとってはなんとなく不快だというニュアンスを持たせています。

例文その3

・彼女の香水はよい香りだが、付けすぎると鼻につくものだ。

もともとの意味である『においが鼻に付きまとう』という意味でも、『鼻につく』を使うことがあります。また、香水の香りを迷惑に感じている心情についても、暗に表している文です。

『鼻につく』の類語とその使い分け

『鼻につく』以外にも、うっとうしい感じや気に障る感じを表す慣用句があります。ここでは、『鼻につく』の類語や、それぞれの使い分けについて紹介していきます。

鼻持ちならない

『鼻持ちならない』とは、『他人の言葉や行動が我慢できないほど不愉快である』ことを意味する表現です。

『においが我慢ならない』という意味から由来し、『不愉快にさせる』と進化していったと考えられています。傲慢な態度や生意気な口ぶり、プライドの高い人などに対して、不愉快に感じられる時ときに使うことが多いでしょう。

虫唾が走る

『虫唾が走る』は『むしずがはしる』と読み、『胸がむかむかするほどひどく不快である』ことを意味します。

『虫唾』は逆流した胃酸のこと、『走る』は口から出ることで、『胃酸が口から出る』、つまり『吐き気がする』ほどの不快感を表しています。人に対しての不快感だけでなく、物に対しての不快感にも使える表現です。

癪(しゃく)に障る

『癪(しゃく)に障る』とは、『腹が立ってむしゃくしゃした気持ちになること』『他人の言動に対していらいらしている様子』を表します。

『癪』とは『胸や腹の差し込むような痛み』のことです。激しい痛みによって不快さを感じることから、腹が立つ様子を表すようになったといわれています。

『鼻につく』話し方をする人とうまく関わる方法

ここまで、『鼻につく』の意味や類語などを説明してきました。『鼻につく』ような話し方をする人やそのような会話を耳にすると、ストレスがたまってしまいますよね。

では、身近に『鼻につく』話し方をする人がいた場合、どのように対処すればよいのでしょうか。うまく関わっていく方法をチェックしてみましょう。

感情的にならずに聞き流す

まず、うっとうしく感じる話し方をされても、感情的にならないことが重要です。

相手は、不快な思いをさせている自覚なく、そのように話している場合が多いといえます。いらいらするなど不快な感情が湧いても、表に出すと角が立つだけ、という結果に終わってしまうかもしれません。

まともに取り合うことはやめ、『そうなのですね』と軽く聞き流すようにしてみましょう。

適度な距離感を保つ

できることならば、そのような話し方をする人とは近くにいたくないものですよね。適度な距離感を保てれば、それもうまい関わり方の1つです。

「相手のことを理解しよう」と努力しても、徒労に終わる可能性が高いかもしれません。かといって、仕事の場や仲間内であれば関係を断つことも難しい相手です。

自分のストレスにならない程度の適度な距離感を見つけ、保っていくことも上手な対処法といえるでしょう。

『鼻につく』以外の『鼻』のつく慣用句を紹介

『鼻につく』以外にも、日本語には多くの『鼻』という言葉を使った慣用句があります。

・鼻にかける

『自慢する様子』『得意げになっていること』を表す言葉です。「あいつは成績のよさを鼻にかけている」など、自慢げにしている人を見て、周りが否定的な感情を持っている際に使うことが多い表現です。

・鼻が高い

『誇らしく思う』『得意である』という意味です。「息子が誰よりも早く出世して、鼻が高い」など、基本的にはよいニュアンスの言葉として使います。「立派なお嬢さんをお持ちで、鼻が高いでしょうね」と、他人の心情を表すこともできます。

・鼻の下を伸ばす

心の踊る出来事によって喜びや満足感を得ている状態を表現する言葉です。また「美人にお酌をしてもらって鼻の下が伸びている」など、好色そうな顔つきや女性に甘い男性の様子を表現する際にも使われます。

ビジネスの場で使われることもありますが、くだけた会話で使われることのほうが多いでしょう。

・鼻が利く

『嗅覚が鋭い』という意味から転じて「鋭く物事を察知する」というさまを表します。利益になりそうなことや隠しごと、ウソを見抜く能力を指す場面で使うことも多く見られます。

『鼻につく』の意味を正しく理解しよう

この記事では、『鼻につく』の意味や英語表現、例文などを紹介してきました。『鼻につく』の意味は「飽きて嫌になる」「人の振る舞いなどがうっとうしく感じられる」などです。

英語には直訳した言葉はありませんが、似たようなニュアンスの表現がありました。また、『鼻につく』は類語があるので、場面ごとに合った表現を用いることができれば嬉しいですね。

『鼻につく』の意味を正しく理解し使用するとともに、そのような話し方をする人との上手な関わり方も参考にして、ぜひ日常生活に役立ててみてください。


[文・構成/grape編集部]

© 株式会社グレイプ