【早出し】クマ目撃、家族ら不安な車中泊 山形・馬見ケ崎川周辺

クマ出没を受け、市はのぼりを設置して注意を呼びかけた=山形市・馬見ケ崎川河川敷

 山形市妙見寺の馬見ケ崎川河川敷付近で28日夜にクマが目撃された。現地は人気のキャンプスポット。山形署と市は29日にかけて、キャンパーに警戒や退避を呼びかけた。「住宅地近くなのに」「木の葉が揺れる音にも反応しちゃった」-。一夜明け、車中で過ごしたキャンパーから驚きと戸惑いの声が聞かれた。大型連休は始まったばかりで、キャンプはこれからがシーズン本番だ。市は周辺にのぼり旗などを設置し、注意を呼びかけている。

 山形署によると、クマが目撃されたのは東沢コミュニティセンター近く。28日午後6時40分ごろ、住宅街の道路を横切り、同川河川敷の方向に去った。全国では川伝いにクマが移動し、市街地に侵入した例もある。同署と市は夜中、川沿いでキャンプをしていた約30組に退避を呼びかけ、パトカーで付近を警戒した。

 山形市あずま町、会社員武田ひとみさん(60)は家族6人で、現場近くの唐松観音駐車場付近にテントを張った。毎年訪れているが、退避を求められたのは初めてで小さい孫が心配になり車で寝させたという。同市錦町、会社員山川治雄さん(50)は飲酒していたため移動できず、座席シートを倒して車中泊した。「寒い日ではなく助かった」。

 同市馬見ケ崎プール「ジャバ」付近では県外者が目立った。仙台市から訪れた会社員小野和也さん(45)は、クマを寄せ付けないよう生ゴミを袋にしまった。日没後で撤収作業は危険と判断し、車中で一夜を明かした。「リラックスできるはずだったのに、一晩中恐怖心があった。ささいな音にも反応してしまった」と語った。

 馬見ケ崎川周辺では2016年にクマ目撃が相次ぎ、愛宕山に仕掛けたわなで捕獲されたことがある。山形市は29日、キャンプ場周辺に「クマ出没注意」ののぼり旗を立て、注意書きを掲示した。

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