GWは家族4人で旅行予定だけど、ホテルで「宿泊税」を3人分請求される!? いったいなぜ? 理由を解説

宿泊税とは、どんな税金ですか?

日常生活での身近な税金には消費税や住民税などさまざまな国税・地方税があり、国や自治体が集めています。宿泊税は、「地方税」として自治体が独自に集めている税金で、日本全国で一律に課税されているわけではありません。

宿泊税は主に観光振興を目的としており、集めた税金は観光地の維持や発展のために使われています。宿泊税は自治体が条例によって新設でき、導入する自治体が増加しています。

宿泊税は、いくら課税されるの?

令和6年3月現在で宿泊税を導入している自治体は9つあります。
宿泊税が課税されるのは素泊まり料金と素泊まりの料金にかかるサービス料(寝具代・清掃料など宿泊に必要なサービス類)の合計金額で、食事代など宿泊以外のサービスには課税されません。
宿泊税は宿泊料金とあわせて請求され、宿泊業者が自治体に納税します(図表1)。

図表1

筆者作成

福岡県は全域で200円ですが、北九州市と福岡市は市が定める税額に県税50円が加算されて請求されます。

例えば、タイトルの家族4人が福岡県福岡市のホテルの3人部屋(素泊まり1泊1人1万円、未就学児は無料)に1泊2日の日程で宿泊した場合、以下のように計算されます。

・素泊まり料金1泊1人1万円+(福岡市宿泊税150円+県税50円)×3人=請求金額3万600円

福岡市では幼児・子どもの宿泊について、宿泊施設が「添い寝無料」などと設定していて宿泊料金が発生しない場合には課税されません(他の宿泊税導入中の自治体ではそれぞれ、取り決めが異なります)。

集めた宿泊税はどのように使われているの?

宿泊者が支払った宿泊税は、どのように使われているのでしょうか。日本で初めて宿泊税を導入したのは東京都で、東京都主税局が令和5年に発表した「宿泊税20年間の実績と今後のあり方」によると、宿泊税を導入した平成14年度から令和3年度までの宿泊税収は約273億円で、その全額が観光振興施策費用に使われています。

令和5年度の東京都実施予定事業には「観光情報センターの整備・運営」「バリアフリー化の推進」「海外に向けた観光プロモーション」などが挙げられており、他の宿泊税導入自治体も、東京都と同じように宿泊税収は観光振興施策費用などに使われています。

まとめ

宿泊税は主に観光振興を目的とした地方税で、自治体が条例によって料金や課税対象を決めて新設でき、導入する自治体が増加しています。宿泊料金(素泊まり)1万円以上など自治体がそれぞれ定める一定金額以上から課税され、観光地の発展と維持に使われています。

旅行先によっては宿泊税がかかるケースもあることを踏まえて、旅行費用計画をたてることが望ましいでしょう。

出典

北海道俱知安町 倶知安町宿泊税条例
石川県金沢市 宿泊税について
東京都 東京都主税局 宿泊税について
京都市 宿泊税について
大阪府 大阪府の宿泊税
福岡県 宿泊税の概要について
長崎県長崎市 宿泊税の概要
福岡県福岡市 宿泊税に関するよくある質問
東京都主税局 宿泊税20年間の実績と今後のあり方
北九州市 観光情報サイト 宿泊税

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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