ピッチクロック効果てきめん?18~24歳のテレビ視聴率は11%上昇...データが裏付ける若年層でのMLB人気上昇<SLUGGER>

2015年1月の就任以来、「若者の野球離れ」を食い止めようと、さまざまな手を打ってきたロブ・マンフレッド・コミッショナー。10年近くにもわたるその努力が、ようやく実を結ぼうとしているようだ。

4月26日(現地)、MLB.comはファンの「若返り」についての記事を発表。さまざまな調査から、MLBファンの年齢層が低下していることが明らかになった。

記事では、以下のようなデータが紹介されている。

▼2023年、18~24歳のMLB.TVの視聴率は11%上昇。MLB.TV全体の平均視聴年齢も4年ぶりに低下(48歳→44歳)。
▼視聴者全体の51%は44歳以下で、NFLのファンと年齢構成はほぼ同じとの調査結果
▼2019年以降、チケット購入者の年齢の中央値は51歳から45歳へ低下。18~35歳のファンのチケット購入は9.8%上昇

こうした「ファンの若返り」を促進した要因として、記事では①若年層の競技参加 ②試合時間短縮/ゲームスタイルの変化 ③マーケティング ④球場設備改善 と4つの要因を挙げている。

その中で、最も注目に値するのはやはり②の試合時間短縮/ゲームスタイルの変化だろう。 周知のように、MLBは昨年からピッチクロックを導入。その結果、試合時間は平均約24分も短縮され、2時間39分。1985年以降では最も短い数字となった。

それだけではない。ピッチクロックと同時に牽制球の制限やベースサイズの拡大など、盗塁増加を促すルール変更も導入。1試合平均盗塁の数は約1.4倍にまで増えた。調査では18~24歳、25~34歳のファンのうち実に86%がこうしたルール変更を好意的に捉えている。無駄な時間を減らし、アクションを増やすことで、試合の“密度”を濃くする試みが若年層に受け入れられているようだ。

コロナ禍やロックアウトでの拙い対応でファン、メディアから激しい批判を浴び、一部では「史上最悪のコミッショナー」とまで呼ばれたマンフレッド。だが、このままファンの「若返り」が続けば、むしろ野球人気の低下を防いだ名君として後世に残るかもしれない。

構成●SLUGGER編集部

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