国内すでに「150以上」ルートあり! 国際的ウォーキングイベント「イヤーラウンド」とは? 参加レポ

イヤーラウンドを楽しみながら観光地を歩いて巡るチャレンジ(撮影:くぼあき)

「次の休日はどこに旅行へ行こうかな」と、ワクワクしながら計画を立てた経験はないだろうか。「観光が目的だけど、せっかくならその地域を楽しみたいよね」とか、「旅行中はついつい美味しいものを食べて体重が増え気味。観光しながら無理なくカロリー消費できたらいいなぁ」などと思ったことがあるなら、ぴったりのレジャーイベントがある。全国各地で毎日行われており、地域の街並みなどを楽しみつつ無理なくカロリー消費もできる方法を紹介しよう。

■全国に150以上のコース! 歩いて観光大作戦

旅先で観光を楽しみつつ、地域の美味しいものを食べながらカロリーを減らす方法。それは「イヤーラウンド」に参加しながら観光地を歩くことだ。

「なになに? イヤーラウンドって、聞いたことないなぁ」と思っているあなた。イヤーラウンドとは、ヨーロッパやアジア、アメリカなど世界各地で盛んに行われているウォーキングイベントだ。まだまだ日本では馴染みがないが、広島県の「日本三景安芸の宮島&厳島神社コース」や京都府の「伏見酒蔵コース」など、全国に150以上のイヤーラウンドコースがあり、人気が出てきている。観光地以外にも街中や山の中をひたすら歩くコースなど、地域の特徴があって面白い。

イヤーラウンドの目的は「一年を通じて誰もが自由にウォーキングを楽しむ」こと。だから参加するハードルはとても低い。開催日は毎日で、開催地域も全国各地。事前申し込みも不要で団体行動もなく、自分の好きなタイミングで参加ができるのが魅力の一つだ。

参加の方法も簡単。ネットや電話での事前申し込みは不要で、参加したい日にコースを管理している「ウォーキングステーション」に直接足を運べばOKだ。ウォーキングステーションは市や区が運営する体育館や、一般のスポーツショップなど様々な施設がある。地域によって異なるので、所在地についてはネット検索をしておくと良いだろう。

費用も1回につき200円とリーズナブル。別にスタンプカード「パスポート」を200円で購入するが、スタンプでいっぱいになるまでは追加費用は不要だ。出発地点となるウォーキングステーションで支払えばOKなので、大変わかりやすい。

パスポートは歩いた距離と参加した回数を記録するスタンプ帳のようなもの。ウォーキングステーションによってスタンプの番号が違うので、集める楽しみもありそうだ。パスポートさえあれば全国・全世界のどこでもイヤーラウンドに参加できるので、例えば旅先で1kmコースに参加する、など色々な方法で楽しめる手軽さもある。

また、観光地を歩くコースもたくさん設定されており、札幌にもその一つがある。今回は初イヤーラウンドで14kmの道のりに挑戦した記録を紹介しよう。

■いよいよ出発イヤーラウンド

札幌には5〜20kmのコースが多数あるが、筆者が挑戦したコースは「NPO法人札幌歩こう会」がウォーキングステーションとして管理している「オリンピックコース」。二条市場やさっぽろテレビ塔などの観光地から始まり創成川公園、諏訪神社、北24条、北大構内と住宅街を通り抜け、再び旧北海道庁、大通公園と観光地に戻ってくる。2020東京オリンピックのマラソンコースの一部を楽しめる14kmのコースだ。素晴らしいことにイヤーラウンドコースは自由にルート変更しても良い。ルートを短くしなければ途中でカフェに寄るのもよし、美術館などを挟むのもよし。制限時間内にゴール地点に辿り着けばOKなので、筆者は観光地を通るコースに「札幌市時計台」を追加していざスタート!

■1〜3kmは、観光地エリア(二条市場、さっぽろテレビ塔)

スタートから1km地点には「二条市場」がある。アーケードの下には15ほどの店舗がひしめき合い、新鮮な魚介にフルーツ、肉に居酒屋が楽しめる人気観光スポットだ。北海道土産を買うにも良いスポットだが、店先で朝食やランチを楽しめるのも魅力。筆者が通過したのは10時台だったが、多くの方々が美味しそうに食事をしていた。

二条市場を抜けるとすぐに見えるのは「さっぽろテレビ塔」だ。

美しい青空に向かって聳え立つテレビ塔(撮影:くぼあき)

札幌の街を一望できる人気スポットのテレビ塔は札幌のランドマークなので、街中で北海道らしさを楽しみたいのなら、ぜひとも地上90mの展望台に上って四季を味わって欲しい。夜には夜景も楽しめる。

少し歩を進めること3km地点。ちょっとマイナーな観光スポット「諏訪神社」に到着。縁結び・夫婦円満・子授・安産/厄除開運/戦の神様などさまざまな御利益に与る事ができる。また、こちらの御朱印は月によって限定版が出されることで有名だ。プラ素材で作られた立体的なホログラム仕様の御朱印や、カラフルな厚手の紙で作った切り絵に筆で文字を施した切り絵仕様など工夫がいっぱいだ。御朱印集めが好きなら、ぜひチェックして欲しい。

■4〜9kmは、居住&学校エリア

4km以降は繁華街や住宅街を通る道のりだ。高校や大学も多く、学生も多く住んでいる。この日は3月下旬の引越しシーズン。引越し業者のトラック以外にも、道路に目をやると函館、室蘭、旭川、北見など札幌以外の道内ナンバープレートだけではなく、品川や京都のような道外ナンバーの車も数多く見られた。「引越しで来札しているのだろうか?」などと思いを馳せつつ、気づけばちょうど半分の7km地点だった。ここまでの歩数は9800歩。さぁいよいよ後半戦だ、とコースになっている「北海道大学」内に進んだ。

■10〜12kmは、再び観光地エリア(赤れんが庁舎、札幌市時計台)

北大の中を通り抜け、しばらく歩いて1万4000歩。10km地点には旧北海道庁の「赤れんが庁舎」がある。

少し遠くから見ると一瞬本物に見えるような赤れんが庁舎のイラストがお出迎え(撮影:くぼあき)

現在は改修作業を行なっているため、残念なことに外から見ることができない。その代わり敷地内には「仮設見学施設」が用意されており、間近で改修作業を見ることができる。改修期間のみの特別な展示が楽しめるのだ。

改修後には屋根の色を緑から赤褐色に変更するそうだ。どうやら特徴的なあの緑色の屋根は銅の緑青による緑色で、昔は銅の色や赤褐色だったそうだ。改修後の赤れんが庁舎の姿が楽しみだ。

デフォルトのコースに追加したのは、赤れんが庁舎から徒歩10分の「札幌市時計台」。周りのビルと比べて小さく見えてがっかりスポットなどとも言われているが、筆者は大好きな観光スポットの一つだ。今でも6時、7時などの定時には鐘の音を「ゴーン」と鳴らしており、ついつい聞き入ってしまう。近くに立ち寄った際は時計を確認して耳を澄ましてはいかがだろうか。向かいのビルには撮影スポットも用意されているので、ぜひとも利用してほしい。

■13〜14km! もう少しでゴール(昼のススキノ)

雪の残った道を13kmも歩けば流石に疲れる。右膝の裏側を痛くしながら、13km地点に到着。北の歓楽街「ススキノ」だ。昼とはいえススキノに着くと元気になるのはなぜだろうか。夜とは違い、お酒で顔を赤くした方は少なかった。歩数は19000歩。さて、ゴールまでもう少しだ。

■ゴール

札幌市時計台をコースに追加したり、北大構内でちょっと迷子になったりした結果、1.8km増加の15.8kmを歩ききった。所要時間は4時間25分、消費カロリーは1600kcal。20,160歩で無事に到着したゴールでは、係の方が優しく笑顔で出迎えてくれた。

この日は全道的にも天気が良く、街ゆく人々も少し薄手の春先らしいコートの方を多く見かけたほどだ。他にも市民ランナーさんが元気よく走っていたり、雪がとけて楽しそうに自転車を漕いでいる方とも多くすれ違った。自分の足で街を歩くから気が付いた季節の移り変わりの風景だ。車や地下鉄で移動するのも勿論いいのだが、たまには時間に都合をつけて、観光地を歩いて街の空気を感じてみてはいかがだろうか。きっと特別な経験ができると思う。

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