さよなら、日本唯一! 約1kmの空中散歩路線「スカイレール」 4月30日廃止

スカイレールサービス200形 2024年03月14日撮影

広島県広島市のスカイレールサービスが運行する広島短距離交通瀬野線(スカイレールみどり坂線)が、2024年4月30日(火)に営業運行を終了しました。まるで、ロープウェイのゴンドラのような見た目の「ロープ駆動懸垂式」を採用したモノレールは、日本ではここが唯一の乗り物。貴重な鉄道に乗車するため、ゴールデンウィーク前半から廃止直前まで、最後を惜しむ利用者が多く訪れました。

スカイレールは1998年に開業、みどり口〜みどり中街〜みどり中央口間のわずか3駅を結ぶ1.3kmの路線。みどり口駅では、JR西日本 山陽本線瀬野駅と乗り継ぎができます。いわゆる観光用の乗り物とは異なり、傾斜地に開発された住宅地に暮らす人の通勤・通学の足として採用された鉄道。そのため、眼下には多くの住宅や学校などが広がり、ある意味、珍しい景観が楽しめました。

眼下に住宅地を望むスカイレール 2022年01月09日撮影

©レイルラボ koreanrailfanさん

使用車両は三菱重工製の200形で、計7両が在籍しました。このうち6両は開業当初に新製、1両は2018年増備され翌年1月運用に入りと、わずか5年弱の車歴となります。200形は1999年の鉄道友の会が選定するブルーリボン賞に選ばれています。「我が国の新しい交通システムとしてのパイオニア性を高く評価し、また、今後の発展を願い、ローレル賞に選定(一部抜粋)」と好評されました。ちなみに同時受賞したのは、2024年現在、唯一の寝台特急の定期列車として活躍するJR西日本・JR東海の285系電車「サンライズエクスプレス」でした。

まるでゴンドラのよう 2019年02月21日撮影

©レイルラボ tokadaさん

スカイレール廃止の理由としては、利用者減少による経営難とあわせ、車両・設備等のメンテナンス必要な部品等の調達が困難となったことも要因だそうです。

“新交通”と期待されたスカイレールは、ほかで採用されることなく唯一無二のまま約25年の歴史に幕を閉じました。

なお、同路線は3月30日より代替交通として芸陽バスの中型EVバス(定員51名)が継承しています。

200形 2019年02月21日撮影

©レイルラボ tokadaさん

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