『虎に翼』寅子が直言の無実を証明すべく立ち上がる 穂高教授の“人脈”が今後の鍵に?

「直言くんの口から何があったのか、謂れなき罪を背負っているのならば、そのことを聞き出してほしい」

寅子(伊藤沙莉)の父・直言(岡部たかし)は罪を自白したが、本当に弱腰な直言が犯罪に手を染めることはあるのだろうか。もし何もしていないのであれば、法的な手続きによって直言の罪を覆す必要がある。だが、それは自白してしまった以上、とても難しい。『虎に翼』(NHK総合)第22話では、直言の無実を証明すべく寅子が立ち上がる。

穂高教授(小林薫)の指示を受けて、裁判所から借りた膨大な予審記録と調書を書き写すことになった寅子。教室で書き写しをしていた寅子を見て声をかけられずにいた花岡(岩田剛典)だったが、「『何か手伝えることはないか』そうお声をかけたらよろしいんじゃなくて」という涼子(桜井ユキ)の言葉を受けて、大学の友人たちと寅子に協力することに決めた。これまでどこかバラバラだった花岡や轟(戸塚純貴)たちが同じ目的に向かって力を合わせているだけでも感慨深い。誰よりもまっすぐな寅子だからこそ、周りには優しい人が集まってくるのだろう。

友人たちの協力もむなしく調査は行き詰まっていた。その中で自分にしかできないことは何かを考える寅子。そこで寅子ははる(石田ゆり子)が結婚以来毎日日記をつけていた手帳に目をつける。これまではるが夜な夜な手帳に日記を書き留めていた描写が描かれていたが、まさかこの描写がつながることになるとは。

優三(仲野太賀)と協力して手帳の内容と調書の齟齬をいくつも見つけた寅子は、直言のもとを訪れて真実を問い詰める。無罪であると問いかける寅子に対して、相変わらず自身がやったと答える直言。寅子は「それを証明してください」と直言を問い詰め、日記と調書の齟齬を一つずつ読み上げる。「それはお前たちの記憶違いで……」と否定を続ける直言だったが、寅子は「私たちはお母さんが結婚してから30年毎日毎日綴ってきたこの記録を信じます」と伝える。 寅子たちの説得が功を奏し、無罪であることを自白する直言。取調室で高井理事(小須田康人)からあきらめて自白するように説得されていた。若島大臣を始め、多くの重鎮たちも直言たちが自白することで解放することができる。そうしなければ、家族にも辛い思いをさせることになるぞ、と。直言は最初こそ高井理事に反対していたが、長い勾留期間を経て、自分で罪を被ることに決めた。真実を白状した直言だったが、それでもなお全て罪を受け入れることを明かし、寅子たちに「すまない……!」と涙声で何度も謝罪する。

後日、寅子から真実を聞いた穂高教授は無罪を主張することに決め、寅子を法曹会館のラウンジへと連れて行く。そこには共亜事件被疑者の弁護を引き受けている弁護士たちがいた。弁護士たちに穂高教授が無罪を主張することを告げると、顔を見合わせざわつく弁護士たち。その反応から察するに誰もがこの事件を覆すことができるとは到底思っていなかったのだろう。ここから形勢逆転といきたいところだが、一度罪を認めた直言の罪を覆すことは簡単なことではない。強い味方をつけた寅子はこの大事件を乗り越えることができるのだろうか。
(文=川崎龍也)

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