結成から一年のICEx『SCRAMBLE PARTY!』追加公演レポート 過ぎた時間と未来への約束が“スクランブル”した最後の一夜

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2023年3月31日にデビューしたEBiDANのダンスボーカルグループ『ICEx』。「すべての愛を愛す」をコンセプトに結成された彼らの初東名阪ツアー『SCRAMBLE PARTY!』は、発表されるや否や全公演がソールドアウトした。

COOLer(ICExファンの呼称)の要望に応える形で、4月28日(日) にたましんRISURUホールでの追加公演が決定。本レポートでは、第2部の模様をお伝えする。

一夜、ツアー最後のPartyが開幕

昨年8月におこなわれたICExの初ワンマンライブ『ICEx First concert “ICEx LOVEx YOU”』にて発表された本ツアー『SCRAMBLE PARTY!』。待望の追加公演であり、かつ本ツアーの最後を彩るステージでもあることから、これまで以上にICExとCOOLerの熱気が混じり合い、会場のボルテージは最高潮。暗転した空間にカランカラン……と氷の音が響き、正面の巨大モニターにメンバーが映し出されるオープニング映像が流れ、パーティの開幕が知らされる。

チカチカとカラフルに瞬くネオンサイン、ICExのメンバーらしき背中が見える。筒井俊旭、中村旺太郎、千田波空斗がビリヤードに興じ、阿久根温世と竹野世梛がダーツで一本を決め、八神遼介と山本龍人が車に乗って登場。最後には、バスケットボールで一球を投じた志賀李玖が、スプレーで画面を淡く塗りつぶす。やがて浮かび上がる本ツアーのタイトルロゴに目を奪われたかと思えば、眩いライトに照らされたICExのメンバーが舞台上に姿をあらわした。

オープニング曲に選ばれたのは『I’ts party time!』。志賀の堂々とした「ICEx First Tour SCRAMBLE PARTY! I’ts party time!」の掛け声に導かれるように、ピンク地の迷彩柄という可愛らしい衣装に身を包んだメンバーたちが歌い、踊る。さっそく肩を組み合い、八神に抱きつくようにする山本の姿に上がる歓声。ネオンサインが煌めく、街並みを模した巨大モニターを背景に、ミラーボールの輝きを存分に浴びながらパフォーマンスするメンバーたち。

まさにキラキラとしたparty timeの始まりを知らされ、曲は『Play The Music』そして『シブヤ 午後6時』へ。彼らが磨き続けているコンビネーションダンスに合わせて、COOLerたちのペンライトが鮮やかに揺れる。カラフルな色彩と融合するようなポップなビートは次第に温度を上げていき、阿久根の「始まりました、SCRAMBLE PARTY! 最後まで声出して、盛り上がっていきましょう!」の掛け声にも熱が込もるようだ。

巨大モニターには渋谷の映像。彼らが何も誘導せずとも、COOLerたちの「HEY! HEY!」というコールは一糸乱れず、パフォーマンスを後押しする。白、ピンク、青と少しずつ表情を変えていくライトに照らされながら、一度上がった温度は上がり続けるばかり。阿久根と志賀が肩を組み、至近距離で目を見合わせるお決まりのターンも健在だ。

メンバーからの「手を振ってください!」のお願いに、全力でペンライトを振って応えるCOOLerたち。早くも、この時間がいつまでも続きますように、と願うかのように、波が揺れている。

「OK、じゃあ今日は、みんな俺のこと好きにさせます」

志賀の「SCRAMBLE PARTY! ついに開始しました! COOLerのみんな、盛り上がってるか? ICExのみんな、盛り上がってるか?」の掛け声を合図に、千田から順に自己紹介がスタートする。

「みんな、最後だぞ! 今日のパーティ、幸せな花をいっぱいつくっていきましょう! 波空斗でした!」と元気に先陣を切った千田に続き、筒井が「トッシーって呼んでください! せーの」の呼びかけで、いつも通り客席に「トッシー!」をねだる。「ありがトッシー! 最後まで楽しんでいきましょう」と客席を沸かせたあとは、竹野が「みんな楽しんでますか? その調子で最後まで、最後まで、盛り上がっていきましょう、よろしく!」とピースサイン付きで挨拶。

流れるようなバトンタッチは止まらない。志賀は「みんな、会いたかったか? 俺も会いたかったぜ! 愛される準備、してきたよね? よっしゃ、今日は俺が、たくさん愛してやるぜ」と約束し、阿久根は「来たぜ東京! 最後、楽しんでいけますか? ぜんぜん声足りない。楽しんでいけますか? OK、じゃあ今日は、みんな俺のこと好きにさせます」と宣言する。

自己紹介リレーの終わりを担当するのは、八神と山本、そして中村だ。八神が「みなさん今日は、東京2部、盛り上がってますか? 1階も2階も全員見えてるから、今日はみんなで最高の思い出を僕と一緒につくっていきましょう」と客席に呼びかけると、山本が「追加公演きたぞ! みんな最後だよ、盛り上がってますか? 1階! 2階! みんな!」と、どのCOOLerも取りこぼさない。最後に、20歳の誕生日を迎えたばかりの中村が「みなさん、こんにちは! 僕の名前は? 僕の愛称は?」と客席にコールをねだり、「みんな頑張っていこうぜ!」と締めた。

志賀が「メンバーのみんなありがとう、COOLerのみんなもありがとね! 今日はたくさん愛していくけど、もっと声出せますか? 今日は僕らICExとCOOLerで、最高の日にしていきましょう!」と合図し、ステージが暗転。5つのスポットライトが射し込み、水音が聴覚を支配する。やがて雨の音となって場を満たしたかと思えば、いつの間にか、ステージの真ん中には一脚の椅子が。次なる展開を予感し、COOLer一人ひとりの鼓動が雨音と連動する。

目線、指先の動きまで計算され尽くしたパフォーマンス

ライトの点滅は、雨の音を表しているのか。繊細な演出に心を浸らせながら、そっと左手に登場し、椅子に座る千田に目が吸い寄せられる。当てられるスポットライトと、ムーディな音色。このツアーのために作曲されたという『listen to your heart』だ。

足を組みながら妖艶に、伸びやかに歌い上げる千田に呼応するように、右手から現れた八神が青いスポットライトのなかで、少しずつ過ぎ去っていく、取り戻せない時間を惜しむような歌声を披露。目線、指先の動き、表情まで計算された動きと、会場中の空気を一粒一粒、洗い上げるようなふたりの歌声が絶妙に混ざり合う。スポットライトに切り取られた千田と八神が、互いに向かい合いながら歌うのを見ていると、まるでそこだけ世界が切り取られたかのようだ。

とらわれた心は、そのまま『COUNT DOWN』『ナイトフライト』そして『Destiny』と、綿密に組み上げられたセットリストに持っていかれる。

再び水の音に包まれた舞台上には、トレンチコートに黒いハットを合わせたメンバーたちの姿が。黒と白が融合したような世界で、明滅する光に合わせて音が跳ねる。身体が躍動する。すでに期待値はメーターを振り切っているのに、彼らはさらに、どんな景色を見せてくれるのだろう。否応なしに高まる鼓動を抱えたまま、『COUNT DOWN』を知らせる「3、2……3、2、1」の囁きが耳に届く。

中村の妖艶なダンスが映える。千田が高らかに歌い上げ、山本の柔らかい声がそれを受ける。トレンチコートとハットを効果的に使った演出は、彼らのちょっと大人な表情を見せてくれる。続く『ナイトフライト』のセクシーな振り付けに合わせ、トレンチコートは客席に放たれた。中村と阿久根の、互いの胸を叩き合う振り付けに会場が沸き、COOLerの合唱にも力が入る。ピンク、ブルー、レッド……次々と色合いを変えるライトは、あらゆる角度からメンバーの表情を暴いていく。

八神の「今ここにいるみんなと、今ここで出会えていることは、奇跡ではなくDestiny」の合図で、背景の巨大モニターには空の映像が映し出される。客席に向かって一列に並び、真摯に、誠実に声を合わせて歌う彼らは、きっと過ぎ去った1年に想いを寄せていた。

ここまでメンバー同士が手を取り合い、突き進んできた時間。そして、これからも共通の目標に向けて飛び立っていくこと。さらには、メンバーやCOOLerと出会った運命について、繰り返し歌う。メンバーが繋ぎ合わせた手から、志賀と阿久根が覗き込むように歌声を響かせ、八神、中村、千田、そして竹野の声が混じり合う。これからも、ともに走っていくことを約束してくれる歌だ。明日の晴れ渡った空を期待させる、厳かな鐘の音が鳴り響く。

メンバーの“キュン台詞”にCOOLer卒倒!?

ワイルドに決めたかと思えば、ポップに可愛らしい表情を見せることも忘れないICExのメンバーたち。緩急のついたステージングに、まるでジェットコースターに乗せられたような心地にさせられる。明転した舞台ではMCがスタートし、千田から筒井、竹野、志賀、阿久根、八神、山本、中村の順で、あらためてひとりずつ挨拶を。20歳になったばかりの中村に「おめでとう!」の声も飛んだ。

本追加公演はU-NEXTで生配信されており、カメラの向こう側で見守るCOOLerにもアピールを忘れない。中村が画面中央を陣取り、竹野が「出過ぎ、出過ぎ!」と止める一幕も。

山本が「SCRAMBLE PARTY! 本編の方もソールドアウトしまして、なんと追加公演1部2部もソールドアウトしました!」と報告すると、客席からは祝福の声と拍手が。「まさかね、追加公演まであるとは思ってないし、しかもどちらもソールドアウトということで。今日、観にこられなかった人もいると思うので、その人たちの分まで楽しんで。U-NEXTでご覧の皆さんは画面の前で声を出して、楽しんでください」と続けた。

志賀が先導して、本ツアー用にアレンジされた『COUNT DOWN』のセクシーな演出や、メンバーの衣装に触れる。くるくると回りながら全身を紹介する千田に「かわいい!」の声が。本ツアーだけの特別な演出といえば、千田&八神コンビの『listen to your heart』も外せない。志賀が「良かったですよね?」と客席に向けて反応を聞くと「良かった〜!」の大合唱。どこかホッとしたように微笑む千田と八神の特別なパフォーマンスは、また別の機会に披露されるのか。

ここで、本ツアー恒例のトークボックスタイム。志賀から順に、カメラに向かって“キュン台詞”が放たれる。トップバッターの志賀は「よし、今日このあと、ライブ終わったらデートでも行く?」とCOOLerを誘い、千田に「何人連れていく気?」と突っ込まれた。続いた阿久根の「俺と付き合ってくれへん?」はまさにシンプルイズベスト。関西弁の勢いで行っちゃえ! と背中を押された竹野は「ほんまめっちゃ好きやで」で会場を爆発させ、山本は「今日も愛してくれる?」と真っ直ぐにねだる。

「次はトッシーに振ろうと思ってたんだけど……」と言いながら真ん中に進んだ八神は、華麗なターン&投げキス付きで「僕と、付き合ってください」と王子様風なアプローチ。中村は「お前の目、綺麗だね」で筒井からの「旺ちゃんにしては良かった!」と太鼓判を受け、そんな筒井は「これからもずっと隣でトッシーって呼んでな?」と可愛らしく首を傾げた。トリを務めた千田は「ねえ、いま、ほかの人見てたでしょ? 俺だけ見てよ」で綺麗に締め、COOLerからの歓声に大いに照れてみせた。

『恋ソーダ』から圧倒のダンストラックへ

『SCRAMBLE PARTY!』追加公演の第2部は、EBiDAN全体曲の『恋心』や、EBiDAN NEXTの人気曲「Hug Hug Hug」、そして彼らICExのデビュー曲『CANDY』などを含んだ後半戦に突入していく。

阿久根、志賀、竹野によるユニット曲『恋ソーダ』は、まさにソーダに氷を落とした瞬間のシュワシュワ、パチパチと爆ぜる音色からスタート。煌々としたスポットライトが3人を浮かび上がらせる。まるで公園にポツンと置かれたベンチの上で、傘を手に鮮やかにパフォーマンスする彼ら。思い通りにはいかない片思いの切なさ、もどかしい心が滲み出たような振り付けだ。志賀をバックハグする阿久根、阿久根の頬にキスをする竹野に、一際高い声が上がる。

勢いは止まらない。『恋のDingDong』から『Hug Hug Hug』と、可愛らしさに殴られ続けるような時間が続く。

パッと客席が明転したかと思えば、なんと客席には山本、中村、筒井、八神の姿が。山本が「受け取ってください!」と言いながら、COOLerに向けてボールを投げ込む。自分で投げたボールを自分でキャッチして微笑む、中村のお茶目な一面も映像に抜かれる。ステージ上、そして客席中央と、メンバーが入れ替わりながら投げ入れていくボールは、確実に思い出の一球になるだろう。

至近距離を駆け抜けていく筒井の姿に、COOLerは釘付けだ。千田が「まだ足りてないよね? まだまだ盛り上がれるよね? みんなで一緒にクラップしましょう!」と煽り、八神はしきりに客席へ手を振る。曲が『Hug Hug Hug』に移っても、勢いは止まらない。志賀の後ろに映り込む阿久根や、画面アップの竹野に歓声は黄色く彩られる。かっこよく、かつ可愛らしい表情も交互に見せてくれるICExのじゃれ合いには、どれだけ目と耳があっても足りない。

ポップに可愛らしく縁取られた会場は一瞬にして、華麗なアクロバットで再登場した筒井の独壇場に変貌する。ひとりで堂々と、優雅にステージを舞う筒井は、スポットライトさえも味方につけたようだ。やがて、そこに山本と中村が加わる。ここからは3人で形づくるダンストラック。音に合わせて縦横無尽に動く身体、流れるような艶やかなダンスが、彼らにしか生み出せないシンクロを実現させる。

あどけなさを残しつつもダイナミックなダンス。指を鳴らす振り付けに合わせ、とっくに頂点に昇り詰めていたCOOLerの熱気は、さらなる臨界点を突破していく。

これまでの歴史を振り返る『Member Sign』

メンバー全員が再集合した『恋心』では、それぞれが「全力のパフォーマンスと笑顔を届ける」そんな覚悟が垣間見えた。竹野の「皆さん、盛り上がってますか! ライブも終盤、盛り上がっていきましょう!」の呼びかけが響いた『Member Sign』では、巨大モニターにメンバーの幼少期の写真が映し出される。それはさながら、ICExが結成された当時から現在までを振り返るアルバムのよう。

稽古中の自撮りや食事中のオフショット、ライブパフォーマンスを捉えた1枚が浮かび上がるたびに「可愛い!」の声。たかが1年、されど1年だ。きっとこの時間は、彼らがどれだけ成長し、遠い存在になったとしても、忘れられないマイルストーンのような1年になる。たとえ、離ればなれになる未来が訪れたって、“Sign”さえあればまた出会えることを約束してくれる1曲だ。

お待ちかねの『Sunny Road』は、筒井のカッコいい英語の煽りでスタート。COOLerとの掛け声も息がぴったりで、まさに一心同体の装いだ。昨年の初ワンマンも含め、確実に進化を続けているICExは、自分たちの魅せ方やステージの楽しみ方までも掌握しつつある。COOLerから続けざまに放たれる「HEY!」によって、メンバーのボルテージがラストの『CANDY』に合わせチューニングされていくのが分かる。

志賀が「次で最後の曲になります! 僕たちICExは、皆さんCOOLerのおかげで1周年を迎えることができました。次にお届けする曲は、大切な曲です。感謝を込めてお届けします!」と合図して始まった『CANDY』は、彼らのシンボルとも言えるデビュー曲。曲名に合わせ、真上から降ってくるキャンディ型の色とりどりなバルーンに、COOLerの歓声もカラフルに跳ねる。

客席に向かって懸命にバルーンを投げ入れようとするも、なかなか遠くには届かない。それでも、ICEx全員の思いは1ミリ残らずCOOLerに伝わっているはずだ。「皆さん、楽しんでくれましたか? 最高だったか? 俺らも最高だったぜ! 本日はありがとうございました!」の志賀の声に合わせ、手を振りながら去っていくメンバーたち。オレンジ色のキャンディ型バルーンを、なんとか客席まで届けようとする中村に、最後まで揺るぎないサービス精神を感じながら、本編の幕は閉じた。

パーティの終焉を飾るランダム曲に選ばれたのは?

合間を置かず、すぐに始まる「ICEx!」コール。少しずつ厚くなる声に引き寄せられるようにして、メンバーが再集結する。

本ツアー最後となるグッズ紹介では、阿久根プロデュースの巾着が完売したことが報告された。喜びを隠しきれない阿久根は「ありがとうございます! 聞いたときね、めっちゃ嬉しくて。みんな大好きになった。もともと大好きだったんだけど、もっと好きになった」とストレートな言葉で感謝を伝えた。

必需品であるペンライトやアクリルスタンド、うちわ、中村いわく「なんでも入っちゃうから!」なトートバッグや、メンバーが身につけているTシャツまで、余すところなく紹介したあとは、今年のICExの予定を告知。5月8日に3rdシングル『ビリミ』のリリース、そして8月29日・30日には『ICEx summer concert 2024 “TASTING”』の開催が控える。

一夜のパーティの終焉が近づいている。志賀がシャッフルボックスから引いた曲名は『Member Sign』。ランダムに選ばれた1曲を即興でパフォーマンスすることになったICExの面々は、約2時間のライブの疲れなんて微塵も見せない。志賀が「みんな、立ってください! 1階も2階も配信のみんなも、最後にみんなでハイタッチしていきましょう!」と誘導すると、客席からは「嬉しい、嬉しい」と漏れ聞こえる声が。

メンバー同士がハイタッチをし、客席に向かってもハイタッチを促す振り付けの『Member Sign』は、自ずと漏れる「もっと! もっと!」の煽りに応えるペンライトの明かりで、さらに団結感を増幅させていく。配信で見守っているCOOLerに向け、カメラへのハイタッチも欠かさないメンバーたち。「すべての愛を愛す」がコンセプトな彼らにとって、物理的な距離は関係がないようだ。

ICExの一人ひとりが約束する、未来の景色

パーティの終わりには、主催者の挨拶が欠かせない。千田から順にまわっていくメッセージのバトンが、かけがえのない時間にも限りがあることを教える。

「ICExに入ってからというもの、いろいろなことがありました。高校も卒業して、メンバーに学生がいると『学生時代に戻りたいな』とか思って、過去に戻れたらって考えるんです。だけど、やっぱりこの活動を過去に戻ってできるかと言われたら、違うのかなって。この人生でこの活動をやっていることが、本当にすごく幸せで、失いたくなくて。そう考えたら、戻らなくてもいいなって思えるくらいに、楽しい人生を送らせてもらっています。これまで出会ってきた人たち、産んでくれたお母さん、支えてくれたお父さん、ICExのメンバー、そしてCOOLerとの出会いがなかったら、いま、ここにはいません。最高の職業を見つけたなって、僕は思います」という千田の熱さが、会場にも伝播する。

筒井は「たくさんのCOOLerに会えるのが嬉しくて、楽しかったです。僕はこのツアー期間に高校を卒業して大学生になったんですけど、皆さんから『高校生の忙しい時期に、ICExとして活動してくれてありがとう』って言われました。それって、逆なんです。高校生っていう不安定な時期に僕を愛してくれて、新生活とか忙しい時期に僕たちICExを愛してくれて、巡り会ってくれて、『こちらこそありがとう、大好きだよ!』って気持ちでいっぱいです。COOLerの皆さんに感謝しかないです」とあらためて、今日この瞬間に同じときを共有できている事実に感謝を伝えた。

「言葉にまとめるのは苦手なんですけど」と前置きした竹野は、楽しかったツアーに想いを寄せながら「この一言はやっぱり言いたいなと思って。皆さん、大好きです。いろいろな公演に来てくださり、ありがとうございます。これからも僕たち頑張るので、応援よろしくお願いします」とCOOLerへの愛をシンプルに表現。

続いた志賀も「また一歩、夢に近づいたなと感じます。もっともっと、大きいステージに皆さんを連れていきたいです」とほのかに抱いた目標の片鱗を覗かせる。『Destiny』を歌いながら、いま、ここにいる全員と出会えたことは、奇跡じゃなく運命であることを実感したと告白した志賀は「これからもいろいろな景色を一緒に見ていくし、僕たちについてきてください」と胸を張った。

阿久根は、首の怪我のことに触れ「たくさんの人に迷惑、心配をかけちゃって、120%のパフォーマンスを届けられなくてすみませんでした」と謝罪。すぐさま客席からは「そんなことない!」の声が届けられる。「何があるかわからないから、一瞬一瞬を大事にしていこうと、このツアーで、メンバーや皆さんから教わりました。この時間がずっと続けばいいな、と思えた日でした。『SCRAMBLE PARTY!』は終わっちゃうけど、始まりだから。もっともっと大きいステージに連れていくし、幸せにするし、愛していくので。これからも応援してください」と続ける阿久根の声は、未来への期待と希望に満ちていた。

「今日ここに来るまでにいろいろなことがあって、たくさんの経験をさせてもらいました」とデビューからの1年を振り返った八神。ライブやリリースイベントなど、たくさんのCOOLerと幸せな思い出を積み重ねた。「僕は、ICExに入るまでは普通の中学生として学校生活を送っていて、でもいま考えると、俺なんでこんなに幸せな空間にいられるんだろうって……恵まれてるんだろうって思うようになってきて」と口にする八神の声は、どんどん震えていく。

いったんは「泣きませんよ」と挟んで笑いを誘ったが「ライブが始まる前に、メンバーのみんなと叩き合いながら、頑張ろうよって話をして……僕の、リハの至らないところもカバーしてくれて……」と続けたところで、我慢していた涙が決壊。横にいた阿久根が八神を励ます場面も。「八神遼介という青春を、人生を、ICExにかけられていることを誇りに思います」と、なんとか最後まで言葉を尽くした八神のバトンを受けた山本は、すでにもらい泣き状態だ。

「(泣くのを)我慢してたんですけど、八神のせいで……」と、堪えきれなくなった山本。「正直、この公演が始まる前は、体力的につらかったりして。本番がすごく怖くて。でもさっき八神が言ってくれた、みんなで背中を叩き合ったときに、良い仲間だなって。ICExがこの8人でよかったなって思えた」と声を潤ませながら懸命に言葉を継ぎ、そして「これからこの8人で、国立競技場に行きたいなって強く思ったので。その日を皆さんに見せられる日まで、応援よろしくお願いします!」と夢を掲げた。

最後の挨拶の締めを受け取った中村。何を話すか考えたときに浮かんだのは、母の口癖だったという。「感謝感謝、って、いつも言うんですよ。わかったわかった〜って流してたんですけど、20歳になったいま思い返してみれば、こんなにたくさんのCOOLer、スタッフ、メンバーのみんなに支えられているんだって、あらためて実感しました」と語る。「僕たち成長段階で、これからもっと大きくなっていくので。何があっても、僕たちについてきてくれますか?」と呼びかけたCOOLerからは、今日いちばんとも思える大歓声が。

発展途上で、成長過程かもしれない。まだまだ、至らないところのほうが多いのかもしれない。だからこそ彼らは「まだまだこれだけで終われません!」と高らかに宣言し、5月に発売を控える新曲『ビリミ』のパフォーマンスで『SCRAMBLE PARTY!』の閉幕を告げた。

8人じゃないと成り立たない歌、そしてダンス。ステージ上を自由に、華麗に闊歩する彼らを、スポットライトが追いかける。ICExが見せてくれた一夜の夢で、高まりきった興奮。COOLerたちの熱気が冷めるのは、一体いつのことになるだろう。

最後は一列に並び、全員で「ありがとうございました!」と声を揃え、深々と礼をするICExの面々。最後まで、全員が曇りのない笑顔を絶やさなかった。デビューからの1年、そしてこれからも積み重ねられていくICExとCOOLerの歴史。双方の時間に想いを馳せながら、もうすでに、彼らと会える次の時間を待ち侘びている。

取材・文/北村有

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