藤田譲瑠チマはなぜ中盤を支配できた? プレー以外でも魅せた、キャプテンの見事な振る舞い【U-23アジア杯】

中盤を支配したキャプテンは試合後も見事な振る舞いをみせた。

U-23日本代表は現地4月29日、カタール・ドーハで開催されているU-23アジアカップの準決勝でU-23イラク代表と対戦し、2-0で快勝。決勝へ駒を進め、同時にパリ五輪への出場権も獲得した。

長い時間、主導権を握り、イラクを圧倒した試合で、特筆すべきは藤田譲瑠チマのプレーだろう。3-4-3のイラクに対し、日本は4-3-3。中盤の中央のエリアで、相手はダブルボランチの2枚だけだが、日本は藤田、松木玖生、荒木遼太郎の3人で、数的優位だった。

大岩ジャパンの攻撃時、相手のダブルボランチは引いて構え、インサイドハーフの松木と荒木を見るので、常に藤田がフリーの状態に。彼にこれだけ大きく空いた中央のスペースで自由を与えてしまったのが、イラクの敗因のひとつと言えるだろう。

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藤田はボールを持てば、正確なキックを武器に、前へ効果的な縦パスやラストパスを供給。細谷真大の先制点をお膳立てした正確なロングボール、荒木遼太郎の追加点をアシストしたワンタッチパス、どちらも圧巻だった。

チームを牽引する主将が魅せたのはプレーだけではなかった。試合終了の笛が鳴った瞬間、ピッチに倒れ込み、悔しさを露わにしたイラクの選手たち一人ひとりに声をかけ、手を差し伸べていた。

思い返せば今大会、出場がなかった試合ではベンチで90分間、唯一立ち続け、選手たちを鼓舞していた藤田。ピッチ外での振る舞いも含め、チームになくてはならない、最高のリーダーだ。

取材・文●手塚集斗(サッカーダイジェストWeb編集部)

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