『95』髙橋海人とBOØWYの歌詞がリンク 関口メンディーの人柄が滲むドヨンの“優しさ”

ドラマ『95』(テレビ東京系)第4話は、Q(髙橋海人)が自身を変える大きなターニングポイントの回だ。

そのきっかけとなるのが、姉の淳子(桜井日奈子)が宝来(鈴木仁)に強姦されてしまうこと。第3話のラストで次回へのフックとして描かれたこのシーンが、第4話では淳子の視点からその経緯までが描かれていく。ただ、Qが隣の部屋で見て見ぬフリをしていたことは変わらない。人気雑誌『ストフリ』でデビューを飾り、学校では注目の的になっても、Qは目の前の大切な人すら守れずにいた。姉の助けを求める声をかき消すように、爆音で聴いているBOØWY「Marionette ~マリオネット~」の〈鏡の中のマリオネット〉という歌詞は、まるでQ自身のようだ。

そんな折に、Qのポケベルが鳴る。「ホシハスキカ」というドヨン(関口メンディー)からのプラネタリウムへの誘いだった。ドヨンには、小学校4年生の時に神戸に移住したが、阪神淡路大震災をきっかけに東京に戻ってきた過去がある。停電した神戸の街で見上げたのが満点の星空だった。自分の弱さ、家族の大切さ、仲間の優しさ。真っ暗になってからでしか気づかない、見えてこないものもある。

第4話のタイトル「同じだけ背負う罪」が示す通りに、翔(中川大志)率いるチームのマルコ(細田佳央太)、レオ(犬飼貴丈)、ドヨンは宝来らに反撃に出る。宝来本人に手を下すのは、Q自身。「同じだけ罪を背負い、同じだけ傷つくんだ。それがチームだ」とドヨンはQに言い聞かす。これから描かれるであろう第1話冒頭の回想シーンを除けば、これまでで最も血生臭く、そしてQが自分自身を変える瞬間。ただ、それはセイラ(松本穂香)の言うように、冷静に見れば洗脳されているというようにも捉えられる。勝利を掴み、マルコたちが高らかに歌うCHAGE and ASKA「YAH YAH YAH」の〈今から一緒に これから一緒に殴りに行こうか〉という歌詞はそのシチュエーションにマッチしているが、筆者としては〈鏡の中のマリオネット〉の後に続く〈自分の為に踊りな〉もQの心情、立場を表しているように思える。

ここまでの 『95』では、各回でチームのメンバーの人柄が少しづつ映し出されてきたが、第4話でフィーチャーされるのはドヨン。演じる関口メンディーとしては『HiGH&LOW』シリーズのフォー役が今回に通ずる役であり、ドヨンはチームの中で最も喧嘩が強いという設定もある。メンディーはEXILE / GENERATIONSのメンバーであることはもちろん、LDHのキッズエンタテインメントプロジェクト「KIDS B HAPPY」でのユニット・EXILE B HAPPYとしても活動している。筆者は先日、その初の単独公演を取材したのが、メンディーマンとしてマントをなびかせ、多くの子どものヒーローとしてキラキラ輝いている姿は、一見するとドヨンのようなバイオレンスな役柄とは真逆とも思えるが、困っている人に手を差し伸べる、寄り添う優しさというのは共通している部分ではないだろうか。

2024年の現代では秋久(安田顕)に取材をしている新村(桜井ユキ)がセイラの娘であることが明かされつつ、Qたちの物語は95年の夏へと向かっていく。
(文=渡辺彰浩)

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