5.6東京D興行で場外舌戦「ムカついた」 八重樫氏、王者陣営の「トレーナーも研究」にチクリ

会見でコメントするジェイソン・マロニー【写真:浜田洋平】

武居由樹と防衛戦マロニーが練習公開

ボクシングのWBO世界バンタム級王者ジェイソン・マロニー(オーストラリア)が30日、5月6日に東京Dで行われる同級5位・武居由樹(大橋)との2度目の防衛戦に向け、都内の帝拳ジムで練習を公開した。会見では担当トレーナーが武居を指導する元世界3階級制覇王者・八重樫東トレーナーのことまで研究済みだと明かし、場外舌戦を繰り広げる場面もあった。戦績は33歳のマロニーが27勝(19KO)2敗、世界初挑戦で27歳の武居が8勝(8KO)。

王者陣営が先制口撃に出た。マロニーとアンジェロ・ハイダー・トレーナー、トニ・トージマネージャーが練習前に会見。マロニーは「日本で試合の機会を与えてくださりありがとうございます。巨大なイベントに参加できて嬉しいです」と終始優等生だったが、トレーナーは違った。わずか1メートル前に座る八重樫氏を横目に「タケイのトレーナーのことも勉強した」とチクリ。こう続けた。

「マロニーの弟が今度ゲバラと試合をするから、ゲバラの試合もチェックした」

マロニーの双子の弟・アンドリューは12日にWBC世界スーパーフライ級暫定王座決定戦で同級6位ペドロ・ゲバラと対戦。そのゲバラと戦ったことがあるのが八重樫氏だった。2014年12月のWBC世界ライトフライ級王座決定戦で7回KO負けした苦い記憶を突きつけられた八重樫氏は、公開練習後に取材に応じ「何ですかあれは?」と相手陣営の発言に苦笑いした。

「悪口ですか?(笑) まさか自分の名前を出されるとは。ちょっとムカつきました。左ボディーで倒れているので。何かしら繋がりがあるものですね」

大橋秀行会長は「少し油断しているのでは。そこはよかった」と指摘した。

マロニーの練習を視察した大橋秀行会長と八重樫東トレーナー(手前)【写真:浜田洋平】

マロニー陣営「こちらに合わせないといけないのはタケイの方」

元K-1世界王者の武居は21年3月にボクシングデビュー以降、8勝(8KO)の連続KO勝ちを続けてきた。強打を持つが、ハイダートレーナーは「当たらなければこちらが勝つ」とニヤリ。「タケイの映像も見たし、彼のトリッキーなものを再現できるパートナーを呼んだ」と日本人3選手とスパーリングしてきた。

「我々は真の戦いをしてきた。タケイは才能に助けられている。真の戦いでどんな試合をするか見ものだね。こちらに合わせないといけないのはタケイの方でしょう。パワーはあるけど、ロマチェンコのようなトリッキーな姿はない。彼がどう動くかだ」

八重樫トレーナーは「その通り」と冷静。「僕たちはチャレンジャー。試合をつくっていかないといけない。この中でサプライズがあれば。向こうの思考の上をいかないと勝てない」と不利予想を覆す気持ち。「(マロニーには)舐められている感じはしないし、敬意をもってこちらも接する。真摯だし、ちゃんと向き合ってやっつけたい」

世界スーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥(大橋)と元世界2階級制覇王者ルイス・ネリ(メキシコ)がメインイベントを務める歴史的興行に参戦。王者マロニーは20年10月に米ラスベガスで井上に世界挑戦し、7回KO負け。21年8月に再起すると、井上が返上したWBO世界バンタム級王座を23年5月に獲得した。今年1月に初防衛成功。世界的モンスターに敗れたとはいえ、ハイレベルな実力を持つ再起後6連勝中の実力者だ。

1990年のマイク・タイソン以来34年ぶりの東京Dボクシング興行。武居がデビューから全勝全KOで世界戴冠すれば、17年5月にWBC世界フライ級王座に就いた比嘉大吾(13試合)以来、日本人2人目の快挙だ。K-1とボクシングで世界王者になれば日本初の偉業となる。

○…興行はAmazon プライム・ビデオにて「Prime Video presents Live Boxing」の第8弾として独占生配信される。井上と武居のほか、井上の弟のWBA世界バンタム級王者・拓真(大橋)が同級1位・石田匠(井岡)と2度目の防衛戦を行う。WBA世界フライ級王者・ユーリ阿久井政悟(倉敷守安)が同級3位・桑原拓(大橋)と初防衛戦。同じ興行で世界戦4試合は国内最多3試合を超える規模となる。

THE ANSWER編集部

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