【リフォーム実例】60代からの住まいの整え方 刺繍デザイナー 青木和子さんの快適空間を手に入れるヒントとは?

キッチンは、天板、扉材、タイル……と、素材ごとに異なる「白」の調整が大変だったとか。

60代をいきいきと過ごすには「住まい」がとても重要です。『60代からの小さくて明るい暮らし』(主婦の友社)から、自分らしい快適空間を手に入れるヒントになる、刺繍デザイナー 青木和子さんのリフォーム実例を2回に分けて紹介します。

PROFILE
刺繍デザイナー
青木和子さん(70歳)
千葉県在住。美大卒業後、会社勤務やスウェーデン留学を経てアトリエを主宰。素朴で可憐な草花の刺繍が大人気に。『青木和子の小さな刺しゅうの旅』(日本ヴォーグ社)など著書多数。2人の子どもは独立し、夫&愛猫と暮らす。

贅沢ではないけれど素材感を大切に60代のリフォームで住まいをバージョンアップ

60代をお気に入り空間で過ごせたのは、60代前半に取り組んだリフォームのおかげ。
そんな刺繍デザイナーの青木和子さんに、住まいとリフォームのことを伺いました。

新築から30年近く経過したわが家をバージョンアップ

窓からたっぷり入る光を受けて、植物が元気に葉を伸ばす青木和子さんの自宅。両親から引き継いで家族と暮らしていた実家の建物を、まだめずらしかった輸入住宅に建て替えて37年の月日が流れました。

「新築当時のこだわりは『“洋風”ではなく“洋”の家』。20代の頃にスウェーデンに留学して、現地で目にした素材感のあるすっきりとした住空間に魅了されました。とはいえ家を建てたのは30代前半。知識も資金もじゅうぶんではなく、こだわったといえるのは無垢材の床と海外仕様の白い窓枠&ドアだけだったんです。その他の部分は、ごくスタンダードなものを選びました」

「そろそろリフォームを」という思いがよぎるようになったのは、青木さんが50代の頃。時間の経過とともにキッチンの傷みが気になるようになり、業者の見積もりまで進めたものの更年期の不調でお流れに。60歳になって改めてインテリアに造詣の深い知人にすすめられたのが、オーダーキッチンに定評のある「リブコンテンツ」でした。

「一度相談に伺って迷っていたときに、たまたま見ていたテレビ番組で代表の田原由紀子さんがリフォームの魅力を語っていらしたんです。もうこれは運命かなと(笑)、『テレビ越しに田原さんに説得されました』とお願いすることにしました」

窓から庭が望める白いI型キッチンという点も、壁で仕切られた独立型という点も、長年のお気に入り。ともするとリフォームには「大変身させる」という印象がありますが、青木さんの場合はレイアウトはそのままに、“スタンダード”なキッチンの“バージョンアップ”がテーマとなりました。

裏庭を眺めながら作業ができるキッチン。庭から摘んできた植物の緑が白いタイルに映えます。

60歳でキッチン中心のリフォームを行い、60代半ばで寝室を中心とした2度目のリフォームを敢行。70歳の今、いいタイミングで住まいを整えられたと振り返ります。

「更年期が終わり、子どもが巣立って、老後が見えてくるのが60代。それ以降は、体力や気力がなくなってしまうんですよね。リフォームは持ち物を一度全部出さないといけないので、来るべき老後に向けて取捨選択をする絶好の機会でもあります。60代を快適に過ごすための第一歩として、まずはネットや雑誌などで、好みの住まいのイメージを見つけてみるのがおすすめです」

おやつが待ちきれない(!?)愛猫のポール。キッチンの扉は、木の質感を残した白の塗装仕上げに。

後編は、キッチン、リビング&ダイニング、洗面室、アトリエの実例をご紹介します。

写真/土屋哲朗

※この記事は『60代からの小さくて明るい暮らし』主婦の友社編(主婦の友社)の内容をWeb掲載のため再編集しています。


© 株式会社主婦の友社