西村まさ彦、尾美としのり、橋本淳、芹澤興人、水沢林太郎、里見浩太朗が大河ドラマ「べらぼう」に出演決定

西村まさ彦尾美としのり橋本淳芹澤興人水沢林太郎里見浩太朗が、2025年にNHK総合ほかで放送される大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~(つたじゅうえいがのゆめばなし)」(日時未定)に出演することが分かった。

親なし、金なし、画才なし…ないない尽くしの生まれから、喜多川歌麿や葛飾北斎などを見いだし、“江戸のメディア王”として時代の寵児(ちょうじ)になった“蔦重”こと蔦屋重三郎(横浜流星)の生涯を笑いと涙と謎に満ちた物語として描く「べらぼう」。脚本は、NHKで、大河ドラマ「おんな城主 直虎」や連続テレビ小説「ごちそうさん」、ドラマ10「大奥」など数多くのヒット作を手掛けてきた森下佳子氏が担当する。

今回発表された6人が演じるのは、江戸を代表する、版元、戯作者、絵師たち。

西村が扮(ふん)するのは、蔦重の永遠のライバルとなる西村屋与八。西宝暦の頃(1750年代)から錦絵を手掛け、鈴木春信などの有名な絵師ともつながりを持ち、一代で江戸を代表する地本問屋「永寿堂」となる。蔦重と共に、現代の「ファッションカタログ」の先駆けとなる吉原の遊女をモデルに呉服屋とタイアップした錦絵のシリーズ「雛形若菜の初模様」を手掛けることになる。その後、鳥居清長らの美人画にも数多く携わり、2代目も含めて蔦重のライバルとして江戸の出版界を牽引していくことになる。

西村は「西村屋与八は、賢く抜け目がない人物でありながら、彼独自の倫理観と正義感を持っています。時には狡猾(こうかつ)さをもって物事を運んでいく手腕も、この役の魅力的な要素です」と役柄を紹介。「この役で私が特に表現したいのは、彼の内面の葛藤と、外界に対する彼の影響力の繊細なバランスをどのように表現するかが、演技の中で一つの挑戦となります」と役づくりへの熱意も見せる。

さらに、「この作品において、蔦屋重三郎役を演じる横浜流星さんをはじめ、すべての共演者との仕事が非常に楽しみです。キャストの皆さまもおのおのが個性的で才能あふれる演者たちばかりです。それぞれの役者が持ち込む独自の解釈と演技スタイルが、『べらぼう』の世界において、お互いを刺激し合いながら、視聴者にとって忘れがたい作品にすることに全力を尽くしたいと考えています」とキャスト陣との共演に期待。NHKのドラマ「眩〜北斎の娘」でも西村屋与八を演じた経験があるが、「もう一度きちんとこの役と向き合えということなのだと思います。身が引き締まる思いです」と語っている。

尾美が担うのは、江戸在住の“外交官”であり、蔦重にとって最高かつ最大の協力者となる当代一の“覆面”戯作者・平沢常富(朋誠堂喜三二)役。出羽国久保田藩(秋田藩)の藩士で、江戸城の留守居(外交官)を務める。役職柄、情報交換の場として吉原に出入りすることが多く、「宝暦の色男」の異名を持つ。一方で、奇想天外な大人の童話、歌舞伎の筋書きをもじったパロディなど、洒落(しゃれ)、滑稽(こっけい)、ナンセンスを盛り込んだ戯作を数多く放ち、手柄岡持(てがらのおかもち)という名で狂歌も発表。流行作家として一時代を築く。

尾美は「江戸留守居役で戯作者。若い頃から吉原通いをしていたなんて、とても魅力的な人物だったのでしょうね! そう見えればいいなぁと思います。横浜流星さんとの共演が楽しみです。一緒のシーンが多そうなので。『麒麟がくる』(NHK)では大切な鷹たちを毒殺されて逃亡する役でした。今回、注目して見てほしいのは、蔦重と共に楽しくいい世の中にしようと努力するさまですかねぇ」と自身の役柄の見え方についての考えを述べる。

また、蔦重出版物に“北尾重政”ありといわれ、商売初期から支える人気絵師・北尾重政役を橋本が担当。本屋の息子として生まれ、本に囲まれた環境に育ち、絵師としての才能を開花させる。門人も多く、喜多川歌麿(染谷将太)を弟子のように育てたともいわれる。美人画、役者絵の絵師として人気を誇る一方で、版本挿絵の仕事も晩年まで続け、蔦重との最初の仕事「一目千本」以降、蔦重出版物の多くに関わることとなる。

橋本は「残っている文献や重政さんの人物について語られているものは少ないものの、調べれば調べるほどに興味深い人物です。どんな人相手でもフラットに接し、自身の利益よりも面白いことへの探究心を優先する印象があります。人と人をどんどんつなげ、前へ進む求心力や推進力に魅力を感じます。上方から江戸文化へ、まだ見ぬ未踏の地を『おもしれぇじゃねぇか』と躊躇(ちゅうちょ)することもなく、仲間たちと共に踏みしめていく姿、その気概を背負いたいと思います。本屋の長男として生まれたが、その家業を継ぐことなく、独学で絵を学び浮世絵師となり、さらには俳諧や書も学び、とても広い教養のある人物。この人のもとには人が集まり、多くの人物にも影響を与えています。そんな人の瞳が見つめる深度、世相や人を見通す視野の広さ、重政さんが見ていた情景を隣で見られること、そしてその隣を歩ける貴重な時間を、大切に必死に過ごしていきたいと思います。『軍師官兵衛』以来、2度目の大河ドラマ。もちろん緊張もあり、高揚もありますが、まずは楽しんでその人物・時代を生きる人として、スッと存在できたらと思っております」と役柄を分析しながら、役へのアプローチと目標を語る。

続けて、「役への貢献、作品と向き合う姿勢、集中力の高さ、どの作品を見てもストイックに真摯(しんし)に役と向き合っている横浜流星さんとの共演がとても楽しみです。蔦重さんや絵師の皆さまと共に過ごす時間が多くなると思いますので、当時の江戸文化を世に弾き出していった面々のように、切磋琢磨(せっさたくま)しつつ、自由で創造性で満ちた現場になればと思います。魅力的な共演者ばかりで、森下さんが描く素晴らしい世界を縦横無尽にそれぞれが駆ける姿を、1人想像しているこの時間がとても幸せで、実際に動く姿を早く拝みたいと、今か今かと楽しみにしております。今回描かれる時代ですでに活躍しているところからのスタート。確かに重圧もありますし、どうしようかと思っている部分も正直あります。しかし、重政さん自身は自分が売れている、人気があることに意識を向けるよりもきっと、より美しく、より新しく、より面白くと、目の前のものを描く楽しさ、広がっていくことに高揚し、スピード感を持って挑んでいたのだと思います。人気であることは周りが決めることで、きっと渦中の本人は歩いてきた軌跡よりも、今現在、さらには先の見えない未来を必死に見据えていたことを思うと、そこに縛られずに心の底からさまざまなことに感動していくことが大切なのではないかなという思考になりました。その共振した姿が、結果、魅力的になるように、自然と人が集まる人物になるように、誠心誠意、江戸の町を自由に生き抜きたいと思います」と撮影に向け、さまざまな思いを巡らせている。

芹沢が担うのが、蔦重が吉原細見の改め(最新の情報を収集し、それを基に原稿の編集作業を行うこと)の仕事を始める以前から“改め”の仕事を請け負っていた小泉忠五郎。版元として吉原細見「松のしらべ」などを出版。蔦重が吉原細見の仕事を担うようになってからも競い合うように、改めの仕事を続けることになる人物だ。

「大河ドラマの現場は独特の緊張感があり、いつも身が引き締まります。その空気感をまた体験できることがうれしいです」と言う芹沢は、「この時代のおきてや慣例に対して、どの程度意識的に従っているのか、もしくは無自覚に従ってしまっているのか、そのさじ加減が小泉忠五郎を演じる上での命綱になる気がしています。いずれにしても、すごく真面目な人物だなという印象を持ちました。その上で、横浜流星さん演じる蔦屋重三郎との対比、抽象的な表現になってしまいますが、似て非なる立場から物事を見た時の『解像度の違い』を表現できたら、忠五郎も蔦屋重三郎も、より魅力的になる気がします。それを通じて横浜さんと蔦重の背中を押せるように頑張りたいです。現場でお会いすることを楽しみにしています」と、小泉役を演じる上でのポイントについて、自身の解釈を表す。

また、「渡辺謙さん演じる田沼意次の領地が静岡県牧之原市にあったことで、地元の方々が大変盛り上がっていると聞いています。静岡県の出身者として、大河ドラマ『べらぼう』を一緒に盛り上げていけたらうれしいです」と地元への貢献も誓っている。

大河ドラマ初主演となる水沢は、蔦重、次郎兵衛(中村蒼)と共に、五十間道「蔦屋」を支える留四郎役。蔦重の義父・駿河屋(高橋克実)は身寄りのない男子を集め、店の若い衆として奉公させている。留四郎はあることがきっかけで、次郎兵衛が主の「蔦屋」で蔦重と働くことになる。

「大河ドラマや時代劇の経験がない僕が『べらぼう』に参加させていただけることに驚きと喜びを感じています。留四郎は、歴史上に存在しない人物なので『べらぼう』の世界観から大きく逸脱せずに、皆さまから愛されるよう精いっぱい、心を込めて演じていけたらと思っています」と意欲を燃やす水沢は、「蔦重・横浜流星さんや、次郎兵衛・中村蒼さんからお店を任されている身でもあるので、まずは一緒にお芝居をさせていただく際は、僕自身、安心感のあるお芝居を心掛けていきたいと思っていますし、先輩方からたくさんのことを学んでいけたらと思っています。丁寧に、そして愛されるように、最初から最後まで、留四郎らしく演じることができるように頑張っていきます。たくさんの方に、より多くの世代の皆さまに見ていただけたらと思っています!」と気合十分で初の大河に挑む。

そして、「解体新書」など先進的な本を出版した、時代を代表する書物問屋の店主・須原屋市兵衛役を里見が演じる。日本橋の中心地に店を構え、漢籍や学術書、辞典などを扱う大手本屋の商人でありながら、平賀源内や杉田玄白などが書いた“新しい本”を数多く出版する個性的で革新的な版元(出版人)だ。幕府の弾圧を逃れながらも「解体新書」や「三国通覧図説」など“世の中を変える本”を次々と出版する挑戦的な姿勢を見せる。

「『どうする家康』に続き、『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』またまた大河ドラマにお声をかけていただき大変喜ばしく思っております。大河ドラマとして久しぶりに町人物の物語。日本の文学や文化、出発点に光を当てる作品だと期待しております。登場人物も長年、時代劇の中で生きてきた私にとっては見覚えがあるというか、聞き覚えがあるそんな人物がたくさん登場します。そんな人物を、それぞれの俳優さん達がどの様に演じてくださるのか他人事のように楽しみで心がワクワクします」と、作品と共演者たちの演技に対する期待を口にする里見。

併せて「私が演じさせていただく、須原屋市兵衛はさてさて今の世の中でいえば古い大きな骨董屋の主人と東大の文学部の教授を合わせたような人物といったところでしょうか? とにかく今は頭の中はいろいろなことがぐるぐる回転しております」と自らの役柄について触れ、「横浜流星さんはまだ一度もお会いしたことがありませんが、今まさに光輝く星、若さと二枚目ぶりを大いに発揮して、ファンの皆さま、視聴者の皆さまを魅了していただきたいと思っております。私も早く芝居で絡む日を楽しみにしております」と、横浜との共演を心待ちにしている。

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