【パニックで思い込み?】高齢者のアクセルとブレーキ踏み間違い事故をゼロにするためには

【声を震わせながら「間違いありません」】ブレーキとアクセル踏み間違え車が暴走…19歳の男女2人死傷事故の初公判・福島県

全国に目を向けてみると、アクセルとブレーキの踏み間違いが原因とみられる高齢者の事故は、後を絶ちません。

悲惨な事故をゼロにするために、この問題とどう向き合えば良いのか考えます。

取材したのは、交通事故の原因や対策を研究する福山大学の関根康史准教授です。

■福山大学 工学部 関根 康史 准教授

「ブレーキ操作不適が、後期高齢者、特に75歳以上をもって多くなる傾向がみられる」

交通事故総合分析センターによりますと、2018年から3年間で起きた踏み間違いが原因とみられる死傷事故のうち、ハンドルを握っていた7割以上が65歳以上の高齢者でした。

2024年に入って県内では、踏み間違いによる事故で17人が死傷し、2023年の3倍近く増えています。

事故はなぜ起きてしまうのか。

一般的に、加齢によって、判断力や運動能力が衰えることで、適切な運転操作が出来なくなるなどが指摘されていますが、関根准教授は、こんな点も指摘しています。

■福山大学 工学部 関根 康史 准教授

「太ももをあげて、アクセルからブレーキへ切り替える習慣をもっている人は、パニックになった時に、一旦足を上げれば、次はブレーキ(を踏める)という思い込みがある」

パニックによる「思い込み」です。

普段、足を上げてペダルの切り替え操作をしている場合、何かの拍子でパニックになると、足を上げれば「ブレーキを踏める」と思い込んでしまい、結果として、誤って強くアクセルを踏み「暴走」に繋がるといいます。

こうした現状を受けて、高齢者の認知機能検査が行われたり、免許返納が呼びかけられたりと、あの手この手の対策が進められていますが、一向に事故が無くならないのも現実です。

こうした事故があると、「免許返納」という話になりがちですが、福島県のような車社会では、そう簡単な話ではありません。

取材した関根准教授は、「技術」に頼るのも、悲惨な事故を防ぐ選択肢の1つだと話しています。

具体的には、安全運転をサポートするいわゆる「サポカー」に乗り換えるといったことです。

最近の車は、人や障害物を検知して自動でブレーキがかかる機能や踏み間違えで急発進してもそれを制御する装置などが備え付けられています。

国は、2021年から国産の新車に自動ブレーキ性能を搭載することを義務化しています。

最近では、カー用品店で、信号待ちや駐車場など低い速度で進行中にアクセルを強く踏むと、車内で警報音が鳴り急発進を自動で防いでくれる装置なども販売されています。

こうした装置は、今乗っている車に後付けで取り付けることもできるそうで、高齢ドライバーを対象に、設置費用の半分を補助する自治体もあるということです。

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