小芝風花、なぜ今求められる? 『大奥』『城塚翡翠』で証明した“バディもの”との相性

小芝風花が7月期の日本テレビ系土ドラ9枠『GO HOME~警視庁身元不明人相談室~』で主演を務めることが決定した。近年は『フェルマーの料理』(TBS系)、『大奥』(フジテレビ系)などで印象的な芝居を見せ、ますます活躍の幅を広げている小芝。新ドラマでは、いったいどんな姿を見せてくれるのだろうか。

『GO HOME~警視庁身元不明人相談室~』は、全国に2万体存在すると言われている身元不明の“名もなき遺体”を家族などの元に帰すことを目的とする警視庁の “身元不明相談室”を舞台にしたミステリー×ヒューマンドラマ。この部署に自ら志願して配属された、明るく天真爛漫な三田桜を演じるのが小芝である。桜は10歳年上で同期の月本真といがみあいながらも遺体に残されたわずかな手掛かりを頼りに謎を解いていく。ミステリー作品でありながら主人公が明るく天真らんまんという点から、小芝がどんな表現で作品を積み上げていくのかが今から非常に楽しみだ。

小芝は2012年のドラマ『息もできない夏』(フジテレビ系)で俳優デビュー。2014年には実写映画『魔女の宅急便』で映画デビューを飾り、その後は朝ドラ『あさが来た』(NHK総合)、『トクサツガガガ』(NHK総合)など注目の作品に出演し徐々に知名度を上げていく。『美食探偵 明智五郎』(日本テレビ系)では密かに主人公の明智五郎(中村倫也)に思いを寄せつつ、健気に事件解決に協力する小林苺役で多くの人に愛されるキャラクター像を体現。

さらに中島健人とW主演を務めた『彼女はキレイだった』(カンテレ・フジテレビ系)では佐藤愛役を演じ、ラブコメにおいての手腕も発揮する。『波よ聞いてくれ』(テレビ朝日系)の主人公・鼓田ミナレ役では金髪のワイルドな姿を披露する一方で、『フェルマーの料理』ではストイックに料理人を極めるヒロイン・赤松蘭菜役を演じ、ステレオタイプな女性像からは一歩抜け出た魅力を世に示してきた。

小芝の最大の魅力はバディ要素のある芝居において、他者の魅力を相乗効果的に引き出せることだ。主役、または重要なポジションに抜擢されることの多い小芝だが、自分がカリスマ性を発揮し牽引するだけの力を持つと同時に共演者をも輝かせることができる。こうした力は『霊媒探偵・城塚翡翠』/『invert 城塚翡翠 倒叙集』(日本テレビ系)における清原果耶との掛け合いや、『大奥』前半での西野七瀬との掛け合いでも顕著に感じられた。今回の『GO HOME~警視庁身元不明人相談室~』では、まだキャストが明かされない“10歳上のクールな同期”の月本真との関係性がキーとなりそうな予感。誰と共演しても魅力的に輝いて、尚且つ相手役も輝かせられる小芝だからこそ、バディ要素のある作品は適任なのではないか。

加えて『GO HOME~警視庁身元不明人相談室~』は身元不明の遺体を家庭に帰すというヒューマンドラマ要素もあるため、ロジカルに事件解決を追うだけではなく、心に訴えかける“ぬくもり”が必要となる。そして小芝の芝居は視聴者の心をゆさぶる暖かさも持ち合わせているのだ。『大奥』の御台所・倫子役での真っ直ぐで真の強い女性像が多くの視聴者の心に響いたように、今回も観る者を没頭させる作品になるのは間違いないだろう。

勢いもあり、実力も十分な小芝だけに、このタイミングでの日本テレビにおける主演抜擢は合点がいく。本作でさらにはずみをつけ、より活躍の幅を広げていくであろう。
(文=Nana Numoto)

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