誰でも&スマホでも“映える”! 花の写真「アウトドア撮影」コツとワザ 「残念…」との比較も実証

正面から堂々と撮った美しい高遠の桜(撮影:鶴岡 亜矢子)

春本番の暖かな毎日。眩しい新緑と色とりどりの花に、ウキウキが止まらない。しかし、この美しさを残したい! とたくさんシャッターを切っても、家で撮影した写真を見てがっかり…… なんて経験はないだろうか。

筆者もかつて友人に撮影した写真を見せても、きれいだった花や風景が伝わらない経験を何度もした。

フィルムで写真を撮っていたひと昔前とは違い、今は手軽に大量のシャッターを切れる時代になった。また、iphoneを中心としたスマートフォンカメラも高性能になり、撮影の機会が大幅に増えた。では、何枚か撮影すれば、奇跡の1枚が残せるのだろうか。高性能カメラであれば、すてきな写真が撮れるのだろうか。いずれもおそらくNOだ。

今回は「きれいな写真を撮りたい!」と願うあなたに、20年に渡り花や樹木をメインに写真を撮り続けている筆者が、誰にもできる簡単に「映える」写真が撮れるマル秘テクニックを紹介する。

■撮影マル秘テク1 植物は下から撮る

例えばスミレが被写体の場合、スミレと同じ目線で、少し見上げるようなカメラアングルで撮影すると、途端にイキイキとした様子が収められる。これは高級カメラではなくても可能で、撮影時間も5秒程度だ。

上から見下ろしたアングルだとだと花の姿が伝わりにくい

春の花は背が低いものが多く、つい見下ろした写真になってしまいがちだが、寒い冬を乗り越え、暖かい日差しを感じて花芽を伸ばし咲く力強さを収めるためには、下から撮るのがベストだ。

下から花を狙うことで、周辺の森の春めいた様子や、青空に浮いた雲も画面に入れることができる。より季節感が感じられる写真になるので、ぜひ一度試してほしい。

■撮影マル秘テク2 主役の花とコラボさせてみよう

きれいな花に出会ったら、早速周辺の何かとコラボさせてみよう。登山道、登山者、木、山、岩、コラボ相手はたくさん。コラボ探しもネイチャーウォークの楽しみのひとつだ。

コラボのコツは主役を決めること。主役を花にする場合は、花をどう生かすかを考え、周りのコラボ相手を選択しよう。あれこれ取り込まず、シンプルにまとめて主役を引き立てる絵作りをするとうまくいく。

花と風景のコラボ写真は、あとで見返すと情景が思い出される。あの時あんなことがあった、こんなことがあったと、のちのち楽しめること間違いなしだ。

■撮影マル秘テク3 主役にきっちりピントを合わせる

手前右側の花にピントが合っていなかった残念な1枚

主役の花は1輪とは限らない。写真をパッと見たとき主役となる花全体にピントが合っていないと残念な写真になるので、十分気をつけたい。ピントは補正が効かず、どんなに他の部分がよくてもボツ写真になってしまうのだ。

シャッターを押す前に一呼吸置いて、ピントを確認してからシャッターを押す。基本だが、極めて重要な作業だ。

一眼レフやコンパクトデジカメには「F値」という数字があり、数値が小さいとピントが合う範囲が狭く、数字が大きくなるごとに、ピントが合う範囲が増える。ポイントとなる花がぼやけないように「F値」を設定しよう。スマホの場合は「F値」は設定できないが、ピントを撮影したい花に合わせて、画面を長押しするだけで基本OK。

ふんわりとした写真を撮りたいからと、F値を最小数値に設定して撮ると、ほぼ全てがぼやけて何を撮ってるのかわからない写真になるときもある。主役の花にピントをしっかり合わせよう。

■撮影マル秘テク4 意外と重要な花を生かす背景づくり

花が主役の場合、花を引き立てる背景づくりは大事な作業だ。写真を見た時に目線が花にいく状況を作り出すことに注力したい。

白い小さな花なら、暗いモノトーンを背景に合わせると、ぱっと明かりが灯るような美しさを写真から感じることができる。

逆に紫などシックな色あいの花は、春なら新緑と青空で清々しく仕立ててもいいが、霧の中に浮かぶようなドラマチックな写真も味があってよい。

背景が目立つと花に目線がいきにくい例

きれいな花を見つけ「写真に収めるぞ」と思ったら、さまざまな角度からカメラを構え、背景のバリエーションを試してほしい。

上から撮ったり下から撮ったり、近くから撮ったり遠くから撮ったり。花を生かす背景をいろいろ選ぶと、花はきれいにカメラに収まってくれる。

■映え撮影テクニックで思い出に残る一枚を残そう

今回は「映える写真のコツ」を紹介した。筆者も納得する写真はなかなか撮れないのが現実で、だからこそ思い通りの1枚が撮れたときは今でも心が踊る。

この記事をヒントに、読んだ方の写真が一味違うものになったらうれしい。春は花も、緑も美しい。その姿をカメラやスマホで残して、数年後その写真を眺めながら、「ああ、この時楽しかったな」と、ニマニマしてほしい。

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