<レスリング>【2024年JOC杯・特集】期待をエネルギーに変えて圧勝で優勝…U20男子グレコローマン82kg級・吉田泰造(香川・高松北高)

今月のアジア選手権で日本の高校生として初めてチャンピオンに輝いた男子グレコローマン82kg級の吉田泰造(香川・高松北高)が、2024年JOCジュニアオリンピックカップで3試合に圧勝。世界王者に輝いた昨年のU17に続き、U20世界選手権(9月・スペイン)への出場を決めた。アジア・チャンピオンとして「負けられない、という気持ちでした」と胸を張った。

▲シニア・アジア王者の実力を遺憾なく発揮して優勝した吉田泰造(香川・高松北高)

帰国が18日で、試合が27日。疲れ自体は感じなかったそうだが、疲労から来ると思われる肌の不調が出てしまい、練習を休んだり、厚着をして他の部員に影響がないような配慮をしての練習を余儀なくされた。コンディションづくりにやや苦労があったそうだが、それでも、大学生を相手に圧勝で優勝できるのは、地力の強さだろう。

昨年、U17世界選手権で優勝したときは、帰国してすぐに全国高校生グレコローマン選手権があった。そのときは、注目されていることをひしひしと感じ、それがプレッシャーになったのか、「思うような試合ができなかった」と言う。

今回は、見られていることを実感しながら、「プレッシャーとうまく付き合うことができました」と言う。会場に来て、知り合いや先輩選手からアジア優勝の祝福の声をかけてもらい、それが励みに感じられたというから、アジア優勝は大きなエネルギーになったと言えよう。元プロ野球のスーパースター、長嶋茂雄氏の名言に「プレッシャーを楽しいと思った時、その人間は本物になれます」がある。吉田は、その領域に一歩近づいたのではないか。

▲決勝で闘う吉田泰造(赤)。テクニカルスペリオリティで快勝した

グレコローマンにこだわらずに強さを見せる

決勝では、胴タックルの勢いが強すぎて相手の体とともに審判席にあるビデオモニターに激突し、テーブルが倒れてモニターの配線がはずれ、一時使用不能となった。「相手の動きについていこうと思って、思い切っていったら…」と照れ笑いを浮かべ、顔見知りのモニター管理者から「修理代、3万円ね」と声をかけられ、「えー! それだけは…」と許しを請う場面も。何かと話題をつくってくれる期待のホープだ。

▲準決勝では豪快なリフト技を披露

フリースタイルで行われる3月末の全国高校選抜大会で優勝し、そのあとのアジア選手権、この大会、来月の明治杯全日本選抜選手権はグレコローマン。そのあとは再びフリースタイルでインターハイの出場と優勝を目指す。グレコローマンでの強さが目立つが、「両スタイルとも、狙えるものは狙える。グレコローマンで得たものをフリースタイルに生かしたい」とのこと。両スタイルで通じる強さを目指して練習していくという。

今年はU20世界選手権もさることながら、非オリンピック階級の世界選手権(10月・アルバニア)を含めて出場するすべての大会で優勝することが目標。プレッシャーを快く感じる強さを発揮し、どんな成績を見せてくれるか。

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