ハック&スラッシュの代名詞とも言える「ディアブロ」シリーズ。2024年5月に迎える新シーズンでは、新ダンジョンやシステムの追加だけでなく、アイテムの更なる強化が可能となり、ビルドを突き詰める面白さに拍車がかかっているようだ。
その詳細について、アソシエイトゲームディレクターを務めるジョセフ・ピエピオラ氏とリードシーズンデザイナーを務めるデリック・ヌニェス氏の両名にインタビューをし、シーズン4のテーマや注目のポイント、遊び方など、さまざまな点に対し質問を行った。
――シーズン4のテーマや遊び方の方向性とは?
デリック氏:シーズン4のテーマは、発表されたサブタイトルにもあるように“武装再錬”です。その名の通りアイテムのリワークが中心なのですが、既存のシステムも調整されており、遊び方の軸が変わってくると思います。
主にヘルタイドに修正が入り、まずは低レベル帯のユーザーでも遊びやすくなったのが一つ。そしてもう一つが、ヘルタイドでは非常に多くのアイテムがドロップしますが、この敵を倒してアイテムを見るという選択の時間、にらめっこの時間を極力減らし、流れを円滑にしていくのが狙いです。効率よくゲームを進められるかがポイントになっているので、この点を皆さんにも感じて欲しいです。
さらに新たなシステムである名工品制作や焼戻のシステムは、シーズンだけのものではなく永久の領域にも追加されます。シーズン限定で追加されるものとしては、鉄狼団を軸にした「call to wolfs」というクエストが追加されます。これは先ほどポイントになったヘルタイドのバージョンアップに言及したもので、なぜ強化されたのかを追うメインクエストになります。
ジョセフ氏:ヘルタイド強化のアイデアは、シーズン2「血の収穫」からの影響になります。シーズンの反応が良かったので、これをどう落とし込むかを考えた時にヘルタイドと結びつけたのが始まりです。
いろんな敵が一気に襲ってくるフェーズがありますし、それによってアイテムも大量に収穫できるでしょう。小さな遊びやアクティビティも増えていくので、「血の収穫」のようにヘルタイドが強化、拡大されていくようなイメージを持ってください。
――4月頭に行われたシーズン4のPTRの反響やテストの結果はいかがでしたか。また、とくにフィードバックされた点はなんでしたか。
ジョセフ氏:PTRを経ての大きな修正点として、まず挙げられるのは名工品制作のアップグレードのプロセスです。アップグレードの度にアニメーションが毎回出ていましたが、これは長すぎだというフィードバックが多かったので修正します。
もう一つ、名工品制作で強化を行う際に特性が大幅に強化されるシステムがあるのですが、ユーザー間ではクールダウンを引き当てるまで繰り返すという遊びが多く見られました。
また、この名工品制作の強化は稀に失敗することがあり、大量の素材と時間を消費して今まで頑張ってきたものが残念な結果になってしまうのは良くないと判断し、失敗すること自体削除する方向になりました。
さらにもう一つの修正点として、焼戻のプロセスを少し緩めました。
焼戻ではさまざまな素材を使い、後半はとくにレアアイテムを大量に使うのですが、圧倒的に足りないというフィードバックが多くありましたので、あらゆる場所から素材を回収できるように修正する予定です。
この焼戻では強力な特性が追加されるのですが、PTRではバーバリアンの特性の一つに竜巻を大量に生成できるものがあります。ただ、こちらの予想以上に画面を竜巻で埋め尽くすほどになってしまいました。実際、開発側も「面白いじゃん!」と思っていたのですが、さすがにプレイに支障が出てくるため面白いビルドは弱体化はせず、面白みをキープしたまま調整しなければならないなと思っています。
これ以外にもフィードバックを受け取っています。細かなものに関しては、近々配信も控えているので確認していただけると幸いです。
――焼戻とはどのようなシステムなのでしょうか。これによって変化していく狙いについて教えてください。
ジョセフ氏:焼戻の効果の付いた本が手に入ります。これを街に持っていき、鍛冶屋を介して武器に特性を付与できるようになります。
付与できる効果は非常に多いのですが、例えば“ダブルキャスト”というものがあります。これは火の玉を撃つスペルがあった場合、一度で2発発射するというものです。このほか、効果範囲を拡大させるものがあったりします。他にもローグのグレネードの効果を大きく変化させるといった、特定のスキルに言及したものも存在します。
また、アイテムの効果が細かく分類されすぎていた点も修正します。
例えば、特性の発動条件に「敵が遠くにいる時に~」や「敵が出血している時に~」など、条件を細かく設定していました。この条件を細かく設定しすぎて、複数のアイテムを綿密に見比べないとどれがいいものか分からない状態が度々発生していました。これを簡単に直感的に判断したいと考えたのが、シーズン4のアイテムの調整です。
これに焼戻の効果が付くことにより、アイテム探しが楽しくなっていくんじゃないかと。強化する上での変化を与えるものになっています。
――低レベル帯における遊びはシーズン4で変化していくのでしょうか。
デリック氏:低レベル帯における大きな遊びは、新しくなったヘルタイドになると思います。というのも、これまでヘルタイドはワールドティア3と4にしか発生しませんでしたが、シーズン4からはワールドティア1と2でも発生するようになります。
ヘルタイドに入ることによって焼戻の本も手に入り、焼戻のプロセスも低レベル帯でも体験することができるでしょう。
名工品制作に関しては、ワールドティア4から取得できるものなのでエンドゲームコンテンツになると思います。
ジョセフ氏:低レベルのプレイヤーに関しては経験値の問題もありました。ある程度のレベルに到達すると必要経験値が膨大になるため、レベルアップが停滞してしまうことが意見として多くありました。そのため、シーズン4からのワールドティア2以降は取得経験値の補正が+25%から+50%になります。
また、ユニークアイテムのドロップもワールドティア3以降でしたが、これもワールドティア1からもドロップできるようになります。当然、パワーは低くなってしまいますが、アイテムを手に入れたことによるビルドの急激な変化を楽しんでいただけると思います。
――シーズン4で追加される新ダンジョン“奈落”は、「Diablo3」のグレーターリフトのような存在なのでしょうか。
ジョセフ氏:まず“奈落”の目的は素材収集で、ここで集められる素材を使って名工品を鍛えていくエンドゲームの一端になります。得られる素材は階層が深いほどレアリティが上がり、より多く手に入るため、名工品を強化して難易度を高めていくのが一般的な流れとなります。
“奈落”内では、強化されたボスが一瞬だけ出てきたりします。例えばリリスの残響が出てくるのですが、ほんの少し攻撃を行ってすぐ消えていきます。
強化素材以外にもボスを召喚する素材が手に入ります。これでレベル100~200の高レベルのボスを召喚できるので、倒すのも目的の一つになるでしょう。
――アイテムは焼戻や名工品制作でカスタマイズしていくのがメインになるのか、ドロップが主になるのか、どちらになるのでしょうか。
ジョセフ氏:名工品制作では、アイテムに付いている特性がより強力になります。名工品のグレードが上がることで、今よりも最大で+50%の強化値になります。ドロップするいいアイテムに加えて、優れた特性が付いたものを狙っていくのが最初のステップです。
そして、いいアイテムといい特性が付いたものを鍛えていくのが次のステップですね。名工品を鍛える上で素材も必要になりますが、各種アイテムは強化素材としても活用できるので、最上級のアイテムだけを狙うのではなく、素材としても活路があるのがポイントです。
――久々に復帰するユーザーもいると思いますが、シーズン4のどの点に注目してプレイすればよいでしょうか。
デリック氏:やはり新しくなったヘルタイドを経験して欲しいです。今回からはワールドティア1から遊べるので、気軽に挑戦してほしいですね。ヘルタイド内で起きるイベントやミニボスも大量に追加しました。脅威度がマックスに近づくにつれて強力な敵が出現するようになるので、その緊張感も楽しんで欲しい点です。
ジョセフ氏:各クラスに関しても色々と調整されています。とくにネクロマンサーはスケルトンのプレイスタイルが変わっているので、久々にプレイした際の手応えや感触を楽しんでもらいたいですね。
リリース直後にプレイしたユーザーにとってはとくに大きく感じられる調整内容となっているので、ぜひとも実際にプレイして体感して欲しいです。僕らは毎回新しいシーズンを出す時に、毎シーズンが一番いい「ディアブロ」を提供するというモットーの下に制作しているので、今回の一番楽しい「ディアブロ」をぜひ自ら体験して欲しいと思っています。
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