県内企業「賃上げ」「見込み」55% 検討中が33%で最多 徳島経済研、24年春調査 初任給引き上げ37%に増

 徳島経済研究所がまとめた2024年春の県内企業の賃上げ等に関する調査結果によると、賃上げに関して「実施済み」「決定済み」「見込みの段階」を合わせた企業の割合は55.4%で、前年同調査に比べて2.2ポイント増にとどまることがわかった。最も多いのは「検討中の段階」(33%)で、同研究所では「大企業が早々と賃上げを決定する中、県内中小企業の約3分の1が引き続き動向を見極めている状況」としている。一方で、初任給については前年よりも引き上げた企業が増えた。

 調査は3月、アンケート方式で408社に実施し、233社が回答した。

 実施・決定済み、見込み、検討中と回答したのは206社で、賃上げ等の内容は、「定期昇給のみ実施」が22.8%(前年比7.5ポイント減)と最も多かった。ベースアップ(ベア)を伴う踏み込んだ賃上げを実施する企業は48.1%で、前年に比べて6.3ポイント増えた。財務省が3月中旬から4月中旬に実施した「地域企業における賃上げ等の動向について(特別調査)」では今春ベアを実施した全国の中堅・中小企業等は63.1%で、調査時期に違いはあるものの、ベアを実施した企業の割合が徳島は全国平均を下回っている。

 今春の初任給については、「前年支給額より引き上げる」とした企業が37.8%で前年から11.1ポイント増えた一方、「前年支給額据え置き」は17.6%で7.6ポイント減った。人手不足を背景に、新入社員獲得のため初任給を引き上げる動きが全国的にみられ、県内でもその傾向が顕著だった。

 「賃金、初任給の決定に際して重視すること」は、「現在の会社の業績」とした企業が多く、そのほか「人材確保、流出防止」「今後の業績見通し」「社会的水準」「物価水準」「景気動向と見通し」などが上位を占めた。

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