名車「デロリアン」能登に元気を 小松の自動車博物館 被災地訪問へ整備

映画のポスターと一緒に展示された「デロリアン」=小松市の日本自動車博物館

 日本自動車博物館(小松市)の職員とボランティアは30日までに、能登半島地震の被災者を勇気づけようと、米SF映画の金字塔「バック・トゥ・ザ・フューチャー」で知られる乗用車「デロリアン」の整備に乗りだした。県外の愛好者が所有していた車両を購入し、走行可能な状態に修理して被災地を訪問する予定。職員らは映画にちなみ「つらい過去ではなく、明るい未来を感じてもらう機会にしたい」と意気込んでいる。

 同映画は1985年に公開された。高校生の主人公がデロリアンを改造したタイムマシンに乗り、過去や未来を行き来する物語。世界的に人気を集め、日本にも多くのファンがいる。

 今回、同博物館の職員らが入手した車両は、かつて米国にあった自動車メーカーDMCによる1982年製の「デロリアンDMC―12」。沖縄県の愛好者が所有していたが、30年近く放置され、車検切れとなっている。

 日本自動車博物館の職員前田圭一さん(60)=加賀市湖城町=と、同館の協力団体「MMJボランティアグループ」有志の計6人が共同購入した。沖縄から車両を運び、館内に映画のポスターと一緒に展示。現在は、さびた車体を磨いている。

 前田さんによると、再び公道を走るためにはエンジン、ギア、サスペンションなどの整備が必要で、車内の本革シートもすべて張り替えなければならない。部品は現在も国内で流通しており、費用450万円をクラウドファンディングで募っている。募集が終了して整備に出すまで、車両は館内に置く。

 前田さんは「車を通じて能登に元気を届けられたらいい。子どもたちにも乗って楽しんでもらいたい」と話した。

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