白星で被災地に勇気を 大の里、新小結の夏へ闘志

大相撲夏場所番付で新小結に昇進し、会見する大の里(左)と師匠の二所ノ関親方=茨城県阿見町

  ●小さい頃からの「夢」、賜杯は「目標」に

 「自分が場所で勝つことが一番だと思う」。30日発表された大相撲夏場所の番付で新小結となった大の里(23)=津幡町出身、日体大OB、二所ノ関部屋=は会見で、能登半島地震の被災地を勇気付ける活躍を誓った。初土俵からわずか1年、ちょんまげをようやく結える長さに髪が伸びた若武者がふるさとへの思いを胸に初夏の土俵に挑む。

 茨城県阿見町の部屋で、師匠の二所ノ関親方(元横綱稀勢の里)と会見に臨んだ大の里。この日は朝6時に起床し、苦手だという早起きをして「番付表が届くのを楽しみにしていた」と照れくさそうに喜びを表現した。

 昨年の夏場所、幕下10枚目格付け出しでデビューしてから所要6場所での新三役は「全く想像していなかった」という。それでも今年の初詣では「年内に三役になる」と誓いを立て、早々に自らの手で実現した。

  ●尊富士Vに悔しさ

 会見中に表情が曇ったのは先場所を振り返った瞬間だ。目の前で尊富士(たけるふじ)が新入幕優勝を果たす姿を目にした。「小さい頃からの夢だった。天皇賜杯を抱きたい」と強く思ったという。場所後、「惜しかった」「あとちょっとだったね」と何度も声を掛けられ、「自分でもあとちょっとだったなと思った」と悔しさをあらわにした。「先場所は優勝が夢から目標に変わった。目標へ頑張りたい」と新三役での賜杯獲得に意欲を見せた。

 二所ノ関親方は「このスピードは予想外」と喜んだ一方、「小結は通過点。まだまだ上はある」とさらなる成長を促した。

 昨年9月に20歳未満の幕下以下力士と飲酒したことにより、日本相撲協会から22日に厳重注意を受けた。会見の冒頭、大の里とともに謝罪した二所ノ関親方は「今後は大の里を相撲道にまい進させていく」と述べた。

  ●遠藤十両陥落

 新番付では遠藤(穴水町出身、金沢学院大附属高OB、追手風部屋)が16年夏場所から約8年守った幕内の座から陥落した。3場所続けて5勝10敗と負け越し、東十両3枚目に番付が下がった。輝(七尾市出身、金沢市西南部中OB、高田川部屋)は番付が1枚下がり、東十両5枚目となった。

 十両3場所目となる欧勝海(津幡町出身、鳴戸部屋)は東十両13枚目。春場所後に伊勢ケ浜部屋に移籍となった炎鵬(金沢市出身、金沢学院大OB)は東序二段100枚目に番付が下がった。

初めて結ったというちょんまげ頭を披露する大の里

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