PGAとLIVは本当に和解した…!? マスターズでカメラマンが見た光景とは?

昨年6月にPGAツアーとLIVゴルフの和解の電撃発表があったものの、その後、PGAツアーとLIVゴルフの提携に関する詳細は何一つ発表されていない。

LIVゴルフの選手へのマキロイの態度は?

今年の初めに発表される予定だった提携話も、春ごろまで延期され弾では良かったが、未だにその発表はない。本当に和解したのか? 提携関係は実現するのか?と憶測ばかりが先行する。

現在、PGAツアーの選手とLIVの選手が出会う貴重な場となっているメジャー大会では、双方に所属する選手の行動にも注目が集まる。

昨年のマスターズを制し、年末にLIV移籍を発表したジョン・ラームは、今年のマスターズにディフェンディングチャンピオンとして登場した。練習場でボールを打っていたラームは、練習ラウンドに向かおうと移動を始めると、すぐ近くでローリー・マキロイがボールを打っているのを発見。

マキロイといえば、LIVゴルフに対する批判の急先鋒でもあり、「僕のキャリアは、一生PGAツアーにある」とXで発言したばかり。一方のラームもPGAツアー残留と発言していたにも関わらず、昨年末に手のひらを返したようにLIVへ移籍し、今ではLIVを代表する選手となっている。

そんな二人が出会ったものだから、現場には幾許かの緊張感が走った。しかし、その緊張感はすぐに和らいだ。目を合わせた二人は、すぐに近寄り、長年の親友に再会したようにハグをしたかと思うと、5分以上も笑顔を交えながら話し込んだ。明らかに敵対心はなさそうだった。

マキロイは昨年のマスターズでも、LIVに移籍したブルックス・ケプカと楽しそうに練習ラウンドを行った。LIVに対する批判的な言動と、昔からの仲間である選手への態度は別物、ということだろうか。いずれにしても選手間の親睦は失われてなさそうだ。

ところで、マスターズにはPGAツアーのカメラマン(社員カメラマン)もいた。マスターズはPGAツアーの主催ではないが、ツアーのホームページなどに掲載する写真を撮影しているのだが、このカメラマンに「LIVの選手も撮影しているの?」と尋ねると、

「いや、波風を立てたくないから避けてるよ。それに、通信社のカメラマンがいるから、写真が手に入らないわけじゃない。もちろん優勝者は撮るよ」という。

この会話を隣で聞いて一般のパトロンが「お前たち(PGAツアーとLIVゴルフ)は、和解したって言ってたじゃないか。違うのかい?」と会話にツッコミを入れてきた。するとこのカメラマンは「俺たち下っ端は、提携の内容とかは何にも知らされていないんだよ」と困り顔。こんな一般人にも突っ込まれるPGAツアーもかわいそうだ。

いっそ、マキロイに交渉を任せてみてはどうだろう? と思ったのだが、皆さんの考えはいかがでしょう。

フォトグラファー 田辺安啓(通称JJ)
●たなべ・やすひろ/1972年生まれ、福井県出身。ニューヨーク在住。ウェストバージニア大学卒業後、ゴルフコース、テレビ局勤務を経験し、ゴルフを専門とするフォトグラファーに転身。ツアーのみならず、コースやゴルフ業界全般に関わる取材も行なっている。

取材・写真=田辺安啓
TEXT & PHOTO Yasuhiro JJ TANABE

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