フェアリーデバイセズ/遠隔支援しながらノウハウ蓄積、技能継承や自動化の布石に

ウエアラブル端末とビデオ会議システムを組み合わせたソリューションを提供するフェアリーデバイセズ(東京都文京区、藤野真人代表取締役)が、建設業界への展開を本格化する。遠隔からの業務支援を通じて、日々の作業を効率化しつつ、熟練のノウハウをデータベースとして蓄積することが可能。AIや大規模言語モデル(LLM)と組み合わせることで現場スキルの技能伝承や、作業の自動判定といった業務の高度化につなげてもらう。
同社は、広角カメラなどを搭載したウエアラブルデバイス「THINKLET」と、同デバイスをビデオ会議システムと連動できるシステム「LINKLET」を展開している。THINKLETは肩から掛けるタイプで、カメラで装着者の視野全体を撮影し、装着者の声のみを集音する。LTEも搭載しており、電源を入れれば簡単に通信できる。トンネル内など電波状況が悪い場合は、端末に一時的に記録することも可能だ。
LINKLETは、ZoomやMicrosoft Teamsに直接つなげて、映像や音声を遠隔地と共有できる。遠隔からの作業支援による移動時間削減などが直接的な効果として期待できる。遠隔から指示を受けながら若手が多能工の役割を果たしたり、高齢熟練者の活躍の場を広げたりすることも見据える。
通話のやりとりは文字情報化し、映像と合わせて蓄積することでAI学習にも活用する。現場スキルの技能継承と同時に、将来のさらなる省人化や自動化を見据えたデータベースも構築していくという考え方だ。
LINKLETは、全米民生技術協会(CTA)主催の技術展示会「CES2022」のイノベーションアワードで3部門を同時受賞した。日本の強みである熟練工のAIを生み出し、世界に輸出することが目指す姿。竹崎雄一郎取締役は「パートナーを募集し、建設業での生産性向上に本格的に取り組みたい」と話す。

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