King & Prince 髙橋海人と永瀬廉、春ドラマで存在感 新境地の役柄演じパワーアップした姿

春ドラマで、King & Princeの2人が新たな一面を見せている。

まずは、4月8日にスタートした『95』(テレビ東京系)で、主演を務めている髙橋海人。1995年の渋谷を舞台にした物語のなかで、髙橋は地下鉄サリン事件をきっかけに人生が一変した高校生を演じている。

筆者が、初めて彼の演技を観たのは2018年。『部活、好きじゃなきゃダメですか?』(日本テレビ系/以下、『部ダメ』)で西野を演じていたときのこと。当時の髙橋はまだ10代で、グループの末っ子として天真爛漫なイメージを持っていた。そのため、ずる賢く器用な西野を演じると知ったときは驚いた人も多かったのではないだろうか。

しかし、ドラマがスタートすると、あまりのハマりっぷりに、またもや驚かされることになった。コメディ要素が強い『部ダメ』のような作品は、とにかくテンポの良さがマストで、少しでもズレてしまうと“狙っている”感が出過ぎてしまい、視聴者が笑えなくなってしまう。ただ、髙橋は映像での役者業の経験が浅かったにも関わらず、台詞の間を読み取る能力に長けていたのだ。台詞を言っているというよりは、「これってアドリブ?」と思わせるような自然さ。

『95』でも、そのナチュラルな芝居が活かされている。同作で髙橋が演じている“Q”こと広重秋久は、どちらかと言うと『だが、情熱はある』(日本テレビ系)で演じていたオードリー 若林正恭のような雰囲気を感じさせる主人公。未視聴の方はぜひチェックしていただきたいのだが、『95』第2話のカラオケのシーンの髙橋の台詞回しはとくに秀逸で、何度も巻き戻してしまった。コギャルの加奈(浅川梨奈)と恵理子(工藤遥)に罵られながらも、頑張って言い返す。それでも、やっぱりやられてしまう。普段のアイドルとしてのキラキラっぷりを完全封印して、女子に小バカにされる冴えないキャラを演じ切っている。

そして、4月20日スタートの『東京タワー』(テレビ朝日系)で主演を務めている永瀬廉。これまで永瀬は、『ラストマンー全盲の捜査官ー』(TBS系)や、映画『真夜中乙女戦争』(2022年公開)、映画『法廷遊戯』(2023年公開)など、どちらかというと、社会派に分類される作品に出演することが多かった。広瀬すずと共演した『夕暮れに、手をつなぐ』(TBS系)は、ラブストーリーではあったが、同作は青春要素が強い作品だったように感じる。しかし、永瀬が今回主演を務める『東京タワー』は激しい恋愛ドラマとなっており、彼にとっても大きな挑戦になるはずだ。

同作で永瀬は、20歳上の女性との許されざる恋に溺れていく大学生・小島透を演じている。どこか絶望感を抱きながら生きている青年というのは、永瀬の得意分野だ。光が消えたり、宿ったりと、目の奥の光を操ることができるのも、彼の強みのひとつ。第1話、詩史(板谷由夏)に「東京タワーって、なんだかとても寂しそうじゃない?」と聞かれ、目に光を宿していくシーンなんかは、永瀬の真骨頂だと言えるだろう。

役者として、新たな分野を開拓しているKing & Prince。表現の幅を広げ続ける“れんかい”は、合わさるたびにいろいろな化学反応が見られるから面白い。こういった挑戦は2人でのグループ活動にも活かされるはずだ。新境地となる役柄を経て、またパワーアップした彼らを見られるのが楽しみだ。

(文=菜本かな)

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