ニキ・ラウダがニュルブルクリンクでの事故当時に着用していたヘルメットをオークションに出品へ

 ニキ・ラウダが、1976年のF1ドイツGPで着用していた歴史的なヘルメットが、F1第6戦マイアミGPでボナムスのオークションにかけられることになった。これはニュルブルクリンクでの痛ましい事故の際に、ラウダが着用していたヘルメットだ。

 ラウダのクラッシュは、F1の歴史に刻まれている。フェラーリのドライバーだったラウダは、レースの2周目にコースのベルクヴェルクのセクションで不可解にもマシンのコントロールを失った。ラウダのフェラーリ312T2はバリアにほぼ正面から衝突し、その衝撃でラウダのヘルメットは彼の頭から外れてしまった。車体は炎上し、そこにサーティースのブレット・ランガーが衝突した。

 損傷を受けて炎上したラウダのマシンはコース脇に止まった。4人の仲間のドライバーたちがすぐに停車し、事故に見舞われたラウダを大破したマシンから救い出して安全な場所へ運んだ。

 レース前、ラウダはサーキットの安全対策の不備、医療体制の不足、不穏な天気予報を理由に、ドライバーはボイコットするよう熱心に訴えていた。しかしながら、ボイコットは1票差で否決された。

 重度の火傷と呼吸器の損傷を負い、数日間病院で命を懸けて闘ったラウダは、クラッシュからわずか40日後に勇敢にもレースに復帰した。3度の世界チャンピオンとなるラウダは、不利な状況をものともせず、モンツァで開催されたイタリアGPに出場し、52周の過酷なレースで4位という驚異的な成績を収め、比類のない意志の強さと勇気を示した。

 残念ながらラウダは、1976年の世界タイトルをマクラーレンのライバルであり友人でもあるジェームス・ハントに奪われることになる。日本での最終戦においてのことで、差はわずか1ポイントだった。

1976年のF1ドイツGPでニキ・ラウダが使用していたヘルメット

 5月4日(土)のマイアミGPで歴史的なアイテムをオークションにかけるボナムスによると、激しいクラッシュの傷跡が残るラウダのヘルメットは1976年以来、“注目すべきクルマとF1の記念品コレクション”として個人によって保管されてきたという。売上の一部は、ラウダ家が選んだ慈善団体ユニセフに寄付される。

 ラウダの次男であるルーカス・ラウダは、「父の遺産が、最も必要としている人々に支援と援助を提供し続けていくことを嬉しく思う」と述べた。

「ユニセフが世界中の子どもたちに人道支援を行う上で直面している課題は、計り知れないものだ。他の人々の機会を改善するために少しでも貢献できるのなら、我々は喜んでそうするつもりだ」

 ボナムス・カーズ・オートモビリアのスペシャリスト、ジェームズ・ガルギロは次のように語った。

「この歴史的に重要なヘルメットを、ドライバーであり、またドライバーの安全の擁護者としてのニキ・ラウダの遺産の証として発表できることを光栄に思う」

「彼の不屈の決意と勇気は、レースの歴史の軌跡を変えた」

 5月4日のマイアミでのボナムスのオークションでは、ラウダのほかに、ジル・ビルヌーブ、ミハエル・シューマッハー、ナイジェル・マンセル、アラン・プロスト、ジャン・アレジ、ゲルハルト・ベルガー、エディ・アーバインのヘルメットも出品される予定だ。

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